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あすかコーポレイトアドバイザリー株式会社
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  • 2021-03-302021-03-30
  • by 田中 喜博

上場株でのインパクト投資とは

いわゆる社会貢献を目標に取り込んだ投資の歴史は古く、1920年代の欧米で始まったSRI投資に始まり昨今では公募投信においてもESG投資が注目を集めつつあります。この中で比較的新しいインパクト投資はどう位置付けらえるのかという事に関心を持ち始められるアセットオーナー様も増えておられるように思います。

インパクト投資については、現在もその定義や手法を巡って議論が続いており、唯一無二の答えは見えていないというのが現状では無いかと理解しています、しかしその中でも、「インパクト投資」という言葉の生みの親であるロックフェラー財団を中心に創設されたGIIN(Global Impact Investing Network)は同投資における中心的存在と言えるでしょう。

同GIINによれば、インパクト投資とは”Impact investments are investments made with the intention to generate positive, measurable social and environmental impact alongside a financial return. Impact investments can be made in both emerging and developed markets, and target a range of returns from below market to market rate, depending on investors’ strategic goals.” 

すなわち「インパクト投資とはポジティブで計測可能な社会・環境インパクトを財務リターンと共に生み出すことを意図して行われる投資である。同投資は新興市場でも先進国市場でも取り組む事が出来るし、戦略によっては市場並み或いは市場以下のリターン等の一定のレンジを目標に取り組むことが出来る」と定義されています。

いささか乱暴なまとめ方かもしれませんが「あらかじめ社会インパクトを意識して、その中でリターンを生み出すことを前提として取り組まれる投資」という事で大きくは間違っていないでしょう。ESG投資を巡って、プロ投資家の受託者責任、すなわちESG投資はリターンを生み出すのか?という問いに対する答えが欧州と米国において異なるなど、やや宗教論的な様相を呈しているのに対して、明確にリターンの必要性を定めている点においてはよりストレートな投資手法であると言えるようにも思います。

さて、GIINが定めるインパクト投資の基本的な定義は上記のようにストレートなものではありますが、そのインパクト投資たる要件についてはさらに細かく定義されています。いわゆるインパクトウォッシュを避けるためであったり、その実効性を担保するためであったりと興味深く。機会があるようでしたらこのブログにおいて徐々にその内容についても触れていきたいとは思いますが、上出の投資家様とのディスカッションの中で感じ、また今回読者の方にご理解頂きたいのは、現在のインパクト投資におけるメインストリームが未公開株・債券(デット)であるという事。またそれに対して上場株のインパクト投資についてはほとんど手つかずの状態であるという事です。

元々が教会のチャリティー(慈善活動)のような形で始まり、比較的限定された地域や課題の解決と社会リターンの追求を目的に始まった投資であることから、そもそも投資を通じてどのような社会を実現させたいのか?(Theory of Change) 、特定された社会課題に対して資金の出し手がどのように関与(Intervention)し、どのような影響を与え、どのような成果(Outcome)を生じせしめるのか?またそれは合理的に説明可能なのか?(Logic Model) と言った哲学と活動に対するコミットメントが必要であり、一般的には市場から株式を買付け、一定期間の後にはそれを売却するという上場株投資の世界になじまないからではないか?というのが筆者の考えです。

それでは上場株を対象としたプロ投資家、個人投資家は株式投資を通じてこの流れに貢献することができないのでしょうか? 決してそんなことは無いというのが私の見解です。未公開株やデットを通じたインパクト投資が0から1を生んでいく投資であるならば、上場企業を対象にしたそれは、1を10や100に育てていく投資ではないかと考えています。特に世界でもまれにみる多くの企業が上場している日本の株式市場には、既に様々な分野で重要な社会インパクトを生み出している企業が存在しています。このインパクトを強化していく事こそが私達上場株投資に関わる投資家の今後の重要な責務の一つではないかと思います。

上場企業におけるインパクト投資を謳う投資の少なからざる部分は「社会的インパクトを生み出す企業にベットする」投資であって「投資を通じて社会的インパクトを強化する」投資足りえていない部分も多分に存在しています。しかし上場株投資において社会インパクトの強化を実現させる事は不可能ではありません。現に私達は過去において、多くの中小型株企業様と対話させて頂く中で、投資家発の提案を受け入れて頂くことで、成長が加速され、当該企業様が持つ優れた社会インパクトが強化される姿を見てきたからです。

投資先企業のインパクトという船に「乗る」投資から「共に船を漕ぐ」投資に視点を切り替えることで、上場株投資に取り組む機関投資家も十分にその社会インパクトを強化するお手伝いが出来るのではないでしょうか?

  • 2021-01-012021-01-01
  • by 田中 喜博

謹賀新年

2021年 今年も宜しくお願いいたします

あすかコーポレイトアドバイザリー 一同

2021年 年賀状
  • 2020-01-22
  • by 田中 喜博

あすか新春セミナーを開催しました

1月9日(木)あすか新春セミナーを無事に終える事が出来ました。ご来場いただいた皆様、ご協力頂いた皆様。本当にありがとうございました。

三部構成のセミナーは、第一部においてSMBC日興証券のチーフ株式ストラテジストである圷正嗣様に2020年の市場環境と投資戦略についてお話頂きました。2020年にグローバルで見た日本市場の魅力度の高さやガバナンス改善により強化される日本企業の優位性についてお話頂くなど大変勇気づけられる内容でした。

第三部は元オリンピック日本代表の為末大様により「自分を知る」とのテーマでのご講演を頂きました。長い競技人生を通じて悩み、考え、ご自身で道を切り開いてこられたお言葉は強くそして優しく、投資との共通点も大変多かったです。

そして第二部は「多様化する対話型投資の現状と今後の展望について」とのアジェンダの下、株式会社ストラテジックキャピタルの丸木剛様、りそなアセットマネジメント株式会社の松原稔様、そして私によるパネルディスカッションを圷様にファシリテート頂きました。私自身も自分達が取り組むバリューアップ型のエンゲージメント投資についてお話をさせて頂きました。

第二部についてはセミナー後の参加者の方々とのお話しの中で「所謂投資先企業と対話を行うタイプの投資家ではあるものの、三者(社)三様のアプローチが大変対比的で面白かった」とのご感想を頂きました。主催者冥利に尽きるお言葉です。また同時に私自身は「投資に取り組む中で何をもって成果とするのか?」との圷様の問いに対して、三人のパネリストがそれぞれ迷うことなく「それは当然投資リターンです」と答えられていた事に勇気づけられました。

世の中で対話型の投資についての認知が高まりつつ反面、外部に対する説明責任も強化されつつあり、近春改定が予定されているスチュワードシップコードにおいてもサステイナビリティーとESGを軸としたエンゲージメントとその効果検証などが導入されることが見込まれています。

日本における運用の質を高めていくためにもこれらに真摯に対応していく事を心掛ける事は大切ですが、その結果として何を実現するのか?を見失わず、それぞれが信じる投資哲学の実行を通じてアセットオーナーが求めるリターンを追求しなければならない事をあらためて確認できました。

  • 2020-01-012020-01-06
  • by 田中 喜博

新年あけましておめでとうございます

  • 2019-12-252019-12-25
  • by 田中 喜博

「あすか資産運用勉強会(大阪)」を終えて

12月23日「企業との対話がどう株式投資の効果に結びつくか」と銘打った勉強会を大阪・北浜の大阪証券取引所 北浜フォーラムで開催させて頂きました。内容としましては同月2日に東京で開催させて頂いた内容とほぼ同じものではありましたが、私達にとっては初の大阪での勉強会ということもあり緊張感をもって臨ませて頂きました。

第一部はスチュワードシップコード・コーポレートガバナンスコードからESG投資につながる一連の流れを整理し、第二部はエンゲージメント効果の計測手法、第三部・四部であすかのエンゲージメント手法のケーススタディーについてお話させていただくという構成でした。

当日は在大阪・京都・神戸のアセットオーナー各位にご参加頂き、いくつかの鋭いご質問を頂けました。「概念的には理解が進むものの、アセットオーナー各位にとっての真の投資意義については未だ明確には見えないESGを軸とした投資に、我々インベストメントマネージャーサイドがどのような解を提示できるのか?」 「私たち自身は肌感覚をもって体感しているエンゲージメントを通じた企業変革の実態をどのようアセットオーナーにコミュニケーションしていくべきなのか?」といった重要な視点でした。今後とも現場に携わる立場として、実体験に基づく知見を皆様にお返しできればと考えております。

この場を借りてお礼を申し上げると共に今後の弊社の取り組みにもご注目頂ければ幸いです。計5名で東京から伺いましたが、帰りは三々五々の散会となりました。メンバーの一人は新大阪でかねてよりの念願であった蓬莱の豚饅とシュウマイセットを購入し帰路に就いたようです。また伺います。

  • 2019-12-102019-12-10
  • by 田中 喜博

「あすか資産運用勉強会」を終えて

12月2日「企業との対話がどう株式投資の効果に結びつくか」と銘打った勉強会を日比谷図書館セミナールームで開催させて頂きました。敢えて小規模の会とさせて頂き、参加者の皆様と密にお話が出来ればと狭めの会場を押さえたのですが、結果として20名近い皆様に参加頂きました。折からの豪雨にも関わらず足をお運び頂いた皆様に心よりお礼を申し上げます。

限られた時間ではありましたが、スチュワードシップコード・ESG投資の現況、エンゲージメントの効果計測、企業様との対話手法とケーススタディーといったトピックスについて、それぞれの分野で実務に従事するメンバーが順番にお話をさせて頂く事が出来ました。

昨今注目が集まるエンゲージメント型投資ですが、外形的な情報に比して、実務面での情報は未だ少なく、実際のところ何をやっているのか?というお問い合わせも頂く事が増えて参りました。このような場を少しでも増やして投資家の皆様のお役に立てればと考えています。

この場を借りてお礼を申し上げると共に今後の弊社の取り組みにもご注目頂ければ幸いです。

  • 2019-10-152019-11-13
  • by 田中 喜博

京都大学様との共同セミナーを終えて

10月7日(月曜日)第六回となる、京都大学経営管理大学院様とあすかアセットマネジメント、弊社の共同セミナー『政策主導で規制が強化される企業ガバナンス』~企業と投資家はどう対応するべきか?~を無事終えることが出来ました。講師・パネリスト各位及びご参加頂いた皆様に心より感謝申し上げます。

今年は有価証券報告書の開示基準が強化される等コーポレートガバナンスを巡る環境整備にさらに一段の進化が見られたように感じています。ガバナンスを支えるための「器(うつわ)」が着々と準備される中で、それをより実効性あるものにするために当事者は何を考えるべきなのか?という点について、当日は現役の独立社外取締役、大手機関投資家のエンゲージメント担当者、そして弊社のメンバーという事なった立場の方々に、様々な議論をして頂く事が出来ました。参加者各位も勇気づけられたのではないでしょうか?

さて、その中で私が一つ強い印象を受けたのは、上出のエンゲージメントを担当されるパネリストの方が言及しておられた「議決権行使において株主が投じる票は企業の将来に対する影響を有している事を忘れてはならない」とのメッセージでした。例えば昨今増えつつある、海外のいわゆるアクティビスト型株主による提出議案についても。勿論株主提案であることを前提とした可否の判断はしないが、定款変更等については特に最新の注意を払っておられるとの事。何故ならば定款変更は企業としてのビジネスそのものに変化を与え、ひいては企業の将来に変化を与える可能性があるにも関わらずその議案に賛同した自分たちを含む株主が将来時点において株主である保証がないためだから。との事でした。

会社は誰のものか?とは永遠の問いであり、今回のコラムのみで語るにはいささか大きすぎるテーマですが、上出の「将来への責任」は、現在進みつつあるSDGs等のテーマとも相通じるものがあります。本件を巡っては所謂海外アクティビストによる株主提案に対する賛成票の低さを、日本市場の後進性の証左として語る論調も見られます。それぞれの立場や主張は異なって当然ですが、同パネリストの方のメッセージと同様に、私達は「その提案は合理的に考えて企業の将来キャッシュフロー≒現在の企業価値を強化するものか否か?」という視点で個別に判断するよう心がけています。逆に言うならば、企業の現時点における価値を取り合うのではなく、他の株主も喜んで同意したいと思えるような全体最適解を提案できる能力が株主にも求められるのではないかと感じています。精進致します。

  • 2019-06-112019-06-11
  • by 田中 喜博

企業開示とTSR(Total Share…

政府がリーダーシップを取って進めるコーポレートガバナンス改革が着々と進行しています。直近では今年1月に公布・施行された「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」を通じて有価証券報告書における開示をより立体的に経営戦略と結び付けて行く方針が決まっています。これらの詳細については、多くの分析やまとめがある事から皆さんも目にしておられると思いますが。ここでは同内閣府令の中で開示が求められている「株主総利回り」、所謂TSR(Total Shareholder Return)について、私達が取組むエンゲージメント・バリューアップの現場からの見方をまとめてみたいと思います。

TSRとは、簡略化して述べれば、一定期間における株価の変動に同期間の配当を加えた、株主としての総合的なリターンを意味します。一般的には株式市場全体の動きにも左右されてしまう株価のみを軸とした評価に対して、企業側の自律的な行動である配当を加味する事で、企業側にとっても株主にとってもよりフェアな評価であると考えられているようです。開示のルールが変わる中、私達の普段の対話においても、関心を持たれる経営者の方が増えておられるように感じます。ガバナンス改革が進みつつある事の証左であり、日本の株式市場にとっても光明であると言えるのではないでしょうか? このような中、私達は経営者の皆様に「TSRを見る上では二つの事に気を付けて頂きたい」とお話ししています。

まず一つ、「過去を見る上では、結果としてのTSRだけでなく、その構成要素をよく吟味し、投資家と対話をして頂きたい」という事です。

平素私達は関与させて頂く企業様に、企業価値を高める努力をしてくださいとお願いし、そのための施策について議論をさせて頂いています。企業価値は理論的に算出できますが、これは市場で取引されている株価と一致するとは限りません。しかし長期的に見れば、株価は企業価値に収斂するはずです。よって株価はやはり企業にとっての通信簿であり体温計であると考えてよいのではないでしょうか。但し、この通信簿である株価と配当(TSR)を市場インデクスとの比較、同業他社との比較だけで語ってしまうと、総合点で優劣をつけるだけの共通テストと同様の弊害を生み出すリスクがあります。TSRは①キャピタルゲイン=利益成長(売上の変化×マージンの変化)×市場マルチプルの変化 と ②インカムゲイン=配当額+自社株買い(これは実は利益成長に入れるべきなのですが今は概念として②に入れています)に分解されます。私達は企業様との対話の中で、絶対的/相対的なTSRの違いが、どこから生まれてきているのかをお話しするように心がけています。TSRを要素分解する事で、企業経営上やり切れた事、やりきれなかった事、その代わりに努力した事、等が見えてきます。売り上げも利益もきちんと伸びているのにマルチプルが伸びていなければひょっとすると市場とのコミュニケーションが足りないのかもしれません。また、同業他社との比較で、マージンだけが劣後しているのならば、同社のオペレーションに何か問題があるのかもしれません。このように、TSRを要素分解する事で株価を軸に経営について事業家と投資家が意見を交わすことが可能になります。逆にTSRその物の比較、乃至は①・②の数字その物の比較であれば「株価が上がらないんだからせめて配当を出してほしい」という交わらない議論で終わってしまう可能性もあります。

二つ目は、「未来を語るにあたっては、上記の構成要素をさらに掘り下げて、経営戦略と併せて語って頂きたい」ということです。

TSRを軸にした議論にリスクがあるとすれば、「株主へのリターンを上げる事ができればどのような策をとってもいい」という議論に陥る要素を含んでいる事であると思います。例えば①の利益成長は、無理なコストカットによって達成する事も可能ですし、市場マルチプルは根拠の無い強気な利益予想で達成できるかもしれません。また、インカムゲインについても本来行うべき投資を犠牲にすれば従来以上の結果を残せる事になります。もちろんこれらの非合理的な経営戦略は長期には企業価値を棄損し、株価にも反映されるでしょうが比較的短期のTSRで見た場合は効果を生む戦術となり得ます。私達がお願いしたいのは、投資~回収~再投資という株式会社のサイクルの中で、EVAを生み続けられる質の高い経営をやって頂きたいという事です。バランスシートも含めた経営計画の結果として①・②それぞれのパラメーターの改善が語られるならばそれは非常に説得力がありますし長期に亘って投資を行いたいと思える対象となり得るのではないでしょうか?換言すれば短期のTSRにとらわれることなく、長期的な株主価値創出の観点からTSRを使って頂きたいという事です。

進みつつある開示の改善に対して、投資家として大いに期待すると共に、企業様にとっては労力の増加が見込まれる変化である事も良く理解できます。せっかくの試みを双方の取組みにより有効に使えるようにしたいものです。私達も、普段のエンゲージメント活動を通じて、そのお手伝いが出来ればと考えています。

  • 2018-12-272019-11-13
  • by 田中 喜博

企業開示と経営戦略

平素から大変お世話になっている株式会社野村総合研究所 上級研究員の三井様からご縁を頂き、ある会計専門誌様の対談形式の取材に参加させて頂きました。内容は企業開示に関する旬な話題であり、事業法人様、投資家の両方にとって興味深いものであると思います。発行が決まりましたら詳細改めてお知らせいたします。

その取材に際して、検討材料として頂いた様々な海外企業の開示例が非常に面白かったことから、こちらでご紹介をさせて頂ければと思います。特に感銘深かったのは、英国マークスアンドスペンサー(M&S)社の開示資料でした。ご存知かとは思いますが、英国が誇る小売業者で世界に8万人を超える従業員を擁するグローバル企業です。

職業柄、日本の企業様が発行される有価証券報告書は良く読ませて頂くのですが、貴重なデータ集として読み進む事はあっても、正直面白いと思って没頭してしまう事はありません。また逆に、近時皆さん力を入れておられる統合報告書は、読み物としてはとても面白いのですが、投資に携わるものとしては非財務情報が中心の同報告書は、何か物足りないように感じてしまう事も事実です。

これに対して、M&S社の場合、英国の法定開示ルールの違いもあるのでしょうが、現状の経営環境分析やこれを元にしたStrategic Reportなる経営戦略が明確に示され、これを実現するための全社でのKPIがしっかり示されている事。また取締役会の経営課題に対する対応とその一年間の振り返りや達成状況、次年度への課題等が提示されており、読み物としてとても読み応えのあるものになっています。

またさらに、重要なのは監査委員会のレポートや独立監査人のレポートもこのStrategic Reportとの一貫性が常に意識されており、独立・中立性を大前提としながらも企業側の等身大の姿を読み手に積極的に伝えようとする意志が感じられる事です。

私達は、財務分析や企業価値向上仮説立案の過程においては、入手可能なありとあらゆる情報を分析しようと心がけています。そのためには、法定開示資料である有価証券報告書を始め、統合報告書や企業様が自主的に準備される様々な開示資料を読み込み、その上で企業様にお願いし、ご面談可能な様々な方々とも面談を行わせて頂きます。その作業は大変ですが、とても意義があるものだと理解しています。

しかし、翻ってこのM&S社のような開示資料が一つあるとすれば、上記のプロセスの少なからぬ部分を、すべての投資家が享受できるようになるのではないかと思います。法定資料として敢えて色をつけない正確な資料として利用されてきた有価証券報告書ですが、いよいよ2021年3月期より「監査上の主要な検討事項(KAM)」の適用も始まるようです。取組まれる企業様、監査法人様にとっては大変なことでしょうが、これがM&S社のようにより良いコミュニケーションツールとしての法定開示資料が作られるための一歩となられることを期待しております。

海外企業の開示の好例としてのM&S社のアニュアルレポート、是非ご一読をお奨めします。

御参考:M&S社開示資料 
https://corporate.marksandspencer.com/ 
(こちらから”Annual Report”で検索してみて下さい)

  • 2018-11-012019-11-13
  • by 田中 喜博

ESGセミナーを終えて

10月9日(火曜日)第五回となる、京都大学経営管理大学院様とあすかアセットマネジメント、弊社の共同セミナーを無事終えることが出来ました。

『ESG 投資と企業経営』~表面的な活動で終わらせないために今何が必要なのか?~
とのタイトルの下ご参加頂いた講師・パネリスト各位、及びご参加頂いた皆様に心より感謝申し上げます。

私達は、あすかバリューアップ戦略と言う独自の企業価値向上を目的としたエンゲージメントに取組んでおり、ESG的視点との少なからぬ重複は感じていますが、あくまでも異なる取り組みを行っていると理解しています。

翻って、企業様のESGに対する取組みに関しても、今や合言葉のように経営への取り組が急がれている現況が、果たして本当に正しいのだろうか?との思いも持っていました。

今回のご講演やパネルディスカッションで感じられたのは、企業規模や業種によってESGへの取り組みは異なる事が当然であり、それはむしろ企業として実現したい自社の将来と明確なリンクを持っている事が必要であるとのメッセージでした。特に平素私たちがご一緒させて頂いている中堅企業様・成長企業様であれば、自社の成長戦略との明確なリンクがあってしかるべきではないかとのコメントは非常に印象深かったです。

サブタイトルである「表面的な活動で終わらせないために今何が必要なのか?」ですが、やはり短期的に見たESGに経営が引きずられるのでなく、経営として目指す「長期的に見てありたい自社の将来」が、まった無しの社会的要請であるESGとどう共生していけるのか?を考えることが必要なのではないか?また、私達は長期視点を有する投資家として、その見極めを行える目と、外部からのアドバイスができるような知見を蓄えなければと感じました。

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