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あすかコーポレイトアドバイザリー株式会社
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  • 2020-11-102020-11-10
  • by 濱田 功

ピグマリオン症

以前、ある企業のIR担当者と話をしていた時に、「アナリストとの面談で、『この決算結果、私のモデルでバッチリ当てましたよ』と自慢げに言われるとものすごく白けるんですよね」と言われたことがあります。企業の日常の活動は、大小様々な施策や決断の積み重ねで、そのような細かなそして時には大胆な実行の集積結果としての決算数字に対して、Excel上での加減乗除や近似数値のモデルでの「的中」を自慢されても、企業活動の現状を丁寧に説明しようとする意気込みをくじかれてしまうということなのではないかと、私なりに解釈しました。

オードリー・ヘップバーン主演の映画「マイ・フェア・レディ」は、バーナード・ショーの戯曲「ピグマリオン」を原作にしたミュージカルです。(ミュージカル演劇を映画化したものです)貧しい下層階級の花売り娘イライザのひどい下町なまりを言語学の権威ヒギンズ氏が、上流階級の言葉に矯正すると、言葉と身のこなしが変わっただけで、イライザに対する周りの扱いも貴婦人に対して接するようになるという喜劇です。原作は、バーナード・ショーがイギリス階級社会に対する皮肉をこめて戯曲にしたものです。
そして、この「ピグマリオン」とは、ギリシャ神話の中の一つの物語から採られたものです。ピグマリオンが理想とする女性を彫刻するうちに、その女性(彫像)に恋をしてしまうというお話です。
戯曲「ピグマリオン」の中で、堅物のヒギンズ氏は自分が創り出した作品である、外見レディのイライザを好きになってしまいますが、最後に手ひどく振られてしまいます。映画「マイ・フェア・レディ」では最後にイライザはヒギンズの基に戻ってくるという映画らしいハッピーエンドに改変されてはいるのですが。

「ピグマリオン症」という言葉を私が初めて眼にしたのは、高橋康教授の著書「古典場から量子場への道」という本の中で、数学的モデルと現実の物理的対象をごっちゃにする「病気」として紹介されていた一節でした。自然界の事象を研究する物理や理論化学の分野では、数学的抽象化によってモデルを打ち立てるのは、研究の中核と言っていいと思います。しかし、そのモデルがうまく機能すればするほど、捨象された現実や近似化の前提条件を忘れてしまいがちです。このこと戒める言葉として「ピグマリオン症」という一種の病気と例えられました。
我々、企業の評価を行うアナリストは、「モデル化」を日常の業務として行います。企業業績の将来予測を行う上で、様々な事象を単純な式に置き換えてExcelシートの上に射影します。このモデル化という作業が重要なのは、それによって、無限とも言える細かな企業活動の中から、その事業・企業の本質を抽出する事を目的としているからです。我々企業分析を生業とするものであれば、このモデル化・抽象化の重要性を認識しない者はいないでしょう。

ところが、精緻なモデルを完成させると、いつの間にか、モデルこそが本質で、なにがしかの真理を体現しているものだという考えに無意識のうちに囚われてしまいます。そのモデル化のプロセスの中で、苦労して集めたデータを緻密な分析で壮大なモデルを組み立てた場合は、まさに精魂こめたピグマリオンの彫刻の努力と相似な気持ちになります。企業活動が日々の取引の集合体である事を忘れて、モデルを実体のように意識し始めるという訳です。
これは、財務モデルだけではなく、その企業の戦略や優位性も、既存のフレームワークの中に当てはめて一旦理解してしまうとその認識を壊す事が心理的に難しくなってしまいます。これも一種のモデル化で、モデルが実体となって顕現してしまうのです。

我々自身は、長期投資の基本として、投資先・投資候補の企業の方には、店舗見学や工場見学、社外取締役など広範囲な方々との面談などをお願いするようにしています。自分自身で創り出したフレームワークを実体だと考えてしまう危険性を犯さないためです。本物の「実体」(なんだか変な言葉ですが)によって我々が持っている彫像の確認や場合によっては破壊を行うために、現場に足を運び様々人たちのお話をお伺いするという事を大事にしています。
物事の本質を見るためにはモデルやフレームワークが必要です。一方、ピグマリオンが彫像に惚れてしまったように、我々も容易に自分たちが創り出した財務モデルや企業像に惚れ込んでしまいがちです。一つの企業を深く調査し、詳細に知れば知るほど、彫像を本物だと考える危険性が高まります。このような深いリサーチには、ピグマリオン症を患うという危険性がつきまとう事を意識しておかなければならないということのようです。

Julie Andrews Rex Harrison My Fair Lady
(舞台ミュージカル版 マイ・フェア・レディ。写真はパブリック・ドメイン)

  • 2020-01-22
  • by 田中 喜博

あすか新春セミナーを開催しました

1月9日(木)あすか新春セミナーを無事に終える事が出来ました。ご来場いただいた皆様、ご協力頂いた皆様。本当にありがとうございました。

三部構成のセミナーは、第一部においてSMBC日興証券のチーフ株式ストラテジストである圷正嗣様に2020年の市場環境と投資戦略についてお話頂きました。2020年にグローバルで見た日本市場の魅力度の高さやガバナンス改善により強化される日本企業の優位性についてお話頂くなど大変勇気づけられる内容でした。

第三部は元オリンピック日本代表の為末大様により「自分を知る」とのテーマでのご講演を頂きました。長い競技人生を通じて悩み、考え、ご自身で道を切り開いてこられたお言葉は強くそして優しく、投資との共通点も大変多かったです。

そして第二部は「多様化する対話型投資の現状と今後の展望について」とのアジェンダの下、株式会社ストラテジックキャピタルの丸木剛様、りそなアセットマネジメント株式会社の松原稔様、そして私によるパネルディスカッションを圷様にファシリテート頂きました。私自身も自分達が取り組むバリューアップ型のエンゲージメント投資についてお話をさせて頂きました。

第二部についてはセミナー後の参加者の方々とのお話しの中で「所謂投資先企業と対話を行うタイプの投資家ではあるものの、三者(社)三様のアプローチが大変対比的で面白かった」とのご感想を頂きました。主催者冥利に尽きるお言葉です。また同時に私自身は「投資に取り組む中で何をもって成果とするのか?」との圷様の問いに対して、三人のパネリストがそれぞれ迷うことなく「それは当然投資リターンです」と答えられていた事に勇気づけられました。

世の中で対話型の投資についての認知が高まりつつ反面、外部に対する説明責任も強化されつつあり、近春改定が予定されているスチュワードシップコードにおいてもサステイナビリティーとESGを軸としたエンゲージメントとその効果検証などが導入されることが見込まれています。

日本における運用の質を高めていくためにもこれらに真摯に対応していく事を心掛ける事は大切ですが、その結果として何を実現するのか?を見失わず、それぞれが信じる投資哲学の実行を通じてアセットオーナーが求めるリターンを追求しなければならない事をあらためて確認できました。

  • 2019-12-252019-12-25
  • by 田中 喜博

「あすか資産運用勉強会(大阪)」を終えて

12月23日「企業との対話がどう株式投資の効果に結びつくか」と銘打った勉強会を大阪・北浜の大阪証券取引所 北浜フォーラムで開催させて頂きました。内容としましては同月2日に東京で開催させて頂いた内容とほぼ同じものではありましたが、私達にとっては初の大阪での勉強会ということもあり緊張感をもって臨ませて頂きました。

第一部はスチュワードシップコード・コーポレートガバナンスコードからESG投資につながる一連の流れを整理し、第二部はエンゲージメント効果の計測手法、第三部・四部であすかのエンゲージメント手法のケーススタディーについてお話させていただくという構成でした。

当日は在大阪・京都・神戸のアセットオーナー各位にご参加頂き、いくつかの鋭いご質問を頂けました。「概念的には理解が進むものの、アセットオーナー各位にとっての真の投資意義については未だ明確には見えないESGを軸とした投資に、我々インベストメントマネージャーサイドがどのような解を提示できるのか?」 「私たち自身は肌感覚をもって体感しているエンゲージメントを通じた企業変革の実態をどのようアセットオーナーにコミュニケーションしていくべきなのか?」といった重要な視点でした。今後とも現場に携わる立場として、実体験に基づく知見を皆様にお返しできればと考えております。

この場を借りてお礼を申し上げると共に今後の弊社の取り組みにもご注目頂ければ幸いです。計5名で東京から伺いましたが、帰りは三々五々の散会となりました。メンバーの一人は新大阪でかねてよりの念願であった蓬莱の豚饅とシュウマイセットを購入し帰路に就いたようです。また伺います。

  • 2019-12-102019-12-10
  • by 田中 喜博

「あすか資産運用勉強会」を終えて

12月2日「企業との対話がどう株式投資の効果に結びつくか」と銘打った勉強会を日比谷図書館セミナールームで開催させて頂きました。敢えて小規模の会とさせて頂き、参加者の皆様と密にお話が出来ればと狭めの会場を押さえたのですが、結果として20名近い皆様に参加頂きました。折からの豪雨にも関わらず足をお運び頂いた皆様に心よりお礼を申し上げます。

限られた時間ではありましたが、スチュワードシップコード・ESG投資の現況、エンゲージメントの効果計測、企業様との対話手法とケーススタディーといったトピックスについて、それぞれの分野で実務に従事するメンバーが順番にお話をさせて頂く事が出来ました。

昨今注目が集まるエンゲージメント型投資ですが、外形的な情報に比して、実務面での情報は未だ少なく、実際のところ何をやっているのか?というお問い合わせも頂く事が増えて参りました。このような場を少しでも増やして投資家の皆様のお役に立てればと考えています。

この場を借りてお礼を申し上げると共に今後の弊社の取り組みにもご注目頂ければ幸いです。

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