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  • 2021-07-14
  • by 田中 喜博

上場株インパクト投資の研究 3章(6)

資産運用業界の仲間たちと一緒に、「インパクト投資を上場株に適用する」をテーマとして研究を始めました。スマートフォンアプリのClubhouse上で毎週様々なディスカッションを行っています。皆さまも是非ご参加ください。また本ブログではこの議論の内容をコンパクトにまとめて皆様にお送りします。

リンク:「上場株でのインパクト投資」常設クラブ(Clubhouse内)

7月14日は、お昼の 12時より Clubhouse Meeting を行う予定です。

上場株式でインパクト投資 3章 4回

2021年6月2日前半

(このブログは毎週水曜日の12時からクラブハウスでオンエアしている“上場株でのインパクト投資”を綴ったものです)

MC
では、今日は前回の続きから、気候変動対応を行うために配当を見直すといった東京ガスの事例について話していきましょう。前回も少しお聞きしましたが、一週間たってご意見も変わったかもしれませんので。

Tさん
そうですね、一瞬思い浮かべたのはダノンのCEO解任の件で、報道も見たのですが投資とESGが二律背反的に語られている良くない例だなと思いました。東京ガスさんが上場企業として果たさなければならない長期戦略の説明責任、そこにESGをどう絡めていくかという必然性の部分とそれに対する資本政策の課題がごっちゃに語られているという気がしました。マスコミが極所だけをとりあげているような印象がしました。

MC
ニュースとしてはそうですが、Tさんはどう考えますか?たとえばTさんが投資先の起業が予定外にそういってきたら、“いいこと言うねえ”っていうか・・・

Tさん
うーん、たぶんそのお話が出る前に十分コミュニケーションしておくべきなんでしょうけどね。(笑)もし期待するインパクトを強化していくうえで、インパクト強化のための追加投資が結果として企業価値を下げるのであればインパクト投資としての要件を満たしていないわけで、投資を始める前に見誤っているということだと思いますので。

MC
Kさんはどうですか?

Kさん
一時的に業績が悪くなることはあり得るのかなと思っています。いろいろな会社で今後起きてくると思います。そうすると株価評価としてマイナスになることもありうると思います。将来的にこの会社が強くなれるかどうか、炭素税の支払いもあるかもしれないし、消費者から好かれ、売り上げが伸びそれがプラスに働くなら応援していいんじゃないかと。今後5年とかで考えたらマイナスになることもあるでしょうし、NPVも下がるかもしれないけど、容認しないといけないのではないかと思うのです。でも東京ガスについては、今まで配当をずっと上げてきて配当性向も6割あって“配当でみてください”とマーケットに対し言い続けてきた会社だと思うのです。それが今年は決算でも“配当増やしてきました”というグラフも入れていないし。投資が必要だということは前からわかっていたでしょうし、急に方針を変えると、配当がいいと思っていた人は怒って売るでしょうし、経営に対する信頼性はちょっと落ちるのかなと思います。

MC
あの、でも東京ガスさんにとっては、ガスの会社ですし何か対策しなければいけないとなると、なんらかの資金を用意しないといけないわけですよね。単に説明が足りなかった?

Kさん
でも、説明が足りなかったというのはおかしいのかなと思っています。短期的に経営を考えているのであればあるかもしれませんが。長期的に考えて配当性向もあげてきた会社のはずなのに。本当は長期的に考えてやっていなかったのではと思ったりします。

MC
もしかしたら逆に、配当が(だけが)いい会社って言わないほうがいいってことなんでしょうかね。東京ガスだったらどうしたらいいのかなと。

Kさん
それだけがいいわけじゃないけど、そのようにコミュニケーションをしてきたので、そこを変えるのであれば徹底的にコミュニケーションすべきだと思うんです。

MC
うーんそうですね。ではHさんはいかがでしょう

Hさん
東京ガスについては完全にコミュニケーションの失敗だと思っています。2020年の3月に中計を発表していて、2022年までに何をやるか明確に説明しています。それは2030年に向けてのビジョンがあって、その中で何をやるべきかになっていて、その中で2022年までは総分配性向(連結純利益に対する配当と自社株取得の割合)を各年度60%に定めています。ところが、今回配当削減の可能性を発表したものは“コロナ禍をふまえた東京ガスグループの経営改革”になっているのです。コロナ禍っていうのは理由として不誠実ですよね。コロナ禍ではなくて、環境に対する社会の認識が変わったとか、バイデン政権の誕生とか日本政府の目標が変化に対して早期の投資が必要だから変えると直接言えばいいのに。そうじゃないから投資家は怒ったのだと思います。
それに昨年の決算発表時にも年間の業績予想を発表していなくて、この時もコロナ禍でわからないという説明だったのですが、レストランとか小売りならともかく、東京ガスさんのようなビジネスで、コロナ禍で需要が読みにくいって、たぶん限定的じゃないですか?コロナをいろいろなところで理由にしすぎている。その辺に対する不信感がでたんじゃないかと思います。

MC
今Hさんが“でたんじゃないか”というのは株価が下がったってことですよね。

Hさん
そうそう、そうです。投資家がNoといったという論調になっているのでけど、投資家は環境投資をすることについてNoといったわけではないと思うのです。コロナを踏まえて環境投資しなければならない、というのはちょっとわからない。

MC
たしかにコロナをつかって、関係ないと思われるような産業がやたら減損したり、減配したりということが起きていましたよね。そういう経営のやり方自身には長期投資家としてはNoを突き付けないといけないですよね。

Hさん
うん、ただネットゼロって言われたから、って書いてくれればいいと思うんです。何度もいいますが、タイトルが「コロナ禍を踏まえた・・・」ってとこだと思うんです。

MC
そうですね、今Hさんがおっしゃったように株価が下がったんですよね。Kさんがいったように、東京ガスは特殊で、配当が非常に高いことで投資家が計画的に持っていて、そこで急に下げられたら困るというのがあるかと思うんですが、そういう時に長期にインパクト投資を目指している時は、前回のシリーズで短期的な株価の変動は気にしないという議論をしたと思います。ところが、多くの投資家が長期の企業価値、もしくは経営姿勢に対してネガティブな反応を示したということになるのだと思いますが、こういう時はどういう風に行動をとりますか?

Tさん
うーん、スパンの長い話なので、まだ分からないと思うのですよ。長期でみれば結果的に戦略としても株価としても評価される「かも」しれない。でも基本的にはHさんとかと同じで、よく説明しないといけない、そして戦略は一貫性がないといけない、投資家としてのエンゲージメントを問われるならそれを促すと思います。みなさん統合レポートなどを一生懸命書かれており、そこでは財務と非財務を組み合わせた目指したい将来が見えると思うのですが、今回のケースをみると、やっぱり財務戦略と、ESGを含めた将来に向けた経営戦略がどう結びついているか一貫性がないように感じられ、不信感が出ているのではないかと思います。例えばこの会社はROEがずっと下がっていて、それが配当を強化していくことで資本効率を維持していこうという戦略を取っておられるに見えたんですが、今回の話は、そことの一貫性がありません。もちろん企業としてのNPVを下げてまでやるんだということは会社の判断としてはあるのかと思いますが、そこに対しては投資家はNoだと言っているんじゃないかと思うのです。会社の説明は“生き残りのために環境対策が必要です、今やらないともうだめです”という書き方をされているのですが。環境対策がきちんと企業価値と結びついていない感じがしました

MC
つまり、今回の説明だと、今回多少減配しても最終的に企業価値はあがるのだという、そもそもの計画が見えていないということですね

Tさん
ひょっとしてまだ考えておられないような・・・ESG戦略が経営戦略としっかり結びついていないような。「生き残りのため」とおっしゃいますが、本当に生き残りについて考えていますか?みたいな。

MCさん
生き残りのために必要といいながら、あまり練れていない計画をだしたような?

続く

  • 2021-07-132021-07-13
  • by 田中 喜博

上場株インパクト投資の研究 3章(5)

資産運用業界の仲間たちと一緒に、「インパクト投資を上場株に適用する」をテーマとして研究を始めました。スマートフォンアプリのClubhouse上で毎週様々なディスカッションを行っています。皆さまも是非ご参加ください。また本ブログではこの議論の内容をコンパクトにまとめて皆様にお送りします。

リンク:「上場株でのインパクト投資」常設クラブ(Clubhouse内)

7月14日は、お昼の 12時より Clubhouse Meeting を行う予定です。

上場株式でインパクト投資 3章 3回 

2021年5月26日

(このブログは毎週水曜日に、クラブハウスでオンエアしている“上場株でのインパクト投資”を綴ったものです)

MC
では、今日はまだKさんが接続していないし、前回最後にTさんが上げてくれた事例で議論したような、これまで投資してきたケースで、気候変動のポジティブインパクトのKPIをうまく企業価値向上になるように設定できた、あるいはできなかったケースについてHさん、お話しいただけませんか?

Hさん
自動車業界についてちょっと話したいなと思うんですけど。自動車業界はCO2などの排出量の規制があって、その達成に向けてどの会社も努力していますが、その時日本の会社って、自分たちがEVカーや、燃料電池の技術力や販売目標はどうですみたいな説明はできているのですが、その場合にコストがどう変わり、企業価値がどう変わるかについてあんまりうまく説明できていないと思います。“環境に良いこと”だからやるし、やらなきゃいけないという説明はされているんですけど、企業価値につながる部分になると長期的な説明になっていないわけです。同じようなことは他も業界でもあるかもしれませんが。たとえば同じEVやっているといっても、テスラなんかだと、自分たちのプロダクトがなぜその価格で受け入れられるかが明確に説明できていると思っています。つまり彼らは顧客目線に立ってなぜそれが受け入れられるかの説明が出来ており、それが不可欠だと思います。例えば私が数年前に、オランダに行った時の感覚ですとタクシーの半分以上テスラという感じでした、これはウーバーでもです。理由を運転手に聞いてみるとテスラは売値と買値と、何キロ走ったらキャッシュフローがどうなるっていうのが電気なんで完全に読める。他の自動車を買うとガソリン価格も動くので、買う方からしても商用車であれば利回り的にテスラしかないということが明らかだという事を運転手自身が説明してくれました。つまり消費者側の計算もでき、それによって何台売れるかということも明確にある、それが説明できているのです。その辺を自分はエンゲージメントしていきたいと思います

MC
ありがとうございます。Hさんが言いたいことよくわかります。自分も数年前気候変動のことを国内の投資家の集まりで話すと必ず“気候にいいことだからといって、企業がそれだけやるのでいいのか?!”みたいな言われ方をして。でもその頃ヨーロッパではまったくそういう捉え方ではなくて、まず燃料費が安いからとか、メリットが前面的にでていたので随分ギャップがあるなと思っていました。日本の自動車会社は説明は確かにうまくありませんが、消費者の側は必ずしもそうではないのかなって思います。自分もプリウスを10年以上乗っていますが、燃料費も全然違うし税金も違います。でも国内でプリウスタクシーですらあんまりみかけなかったですが、ヨーロッパではテスラが出てくる前はタクシーならプリウスだけっていう時があったのに。国内ではなにか他のハードルがあるんじゃないですかね?コストや利益に対する執着であれば、国内の産業も相当あると思うんですけど。税制や燃料費など全体的に環境車のほうが今でもメリットはありそうですけど、まだ足りないとか。また日本の自動車会社は消費者の嗜好はかなりしっかり抑えていると思うんです。だから国内では消費者のニーズがまだ少ないのかな・・・

Hさん
あ、そうです。利益については追求していると思います。ただそれを企業価値にリンクさせて投資家に説明できてないし、お客さんに対しても、いったいそれがどういう経済的なメリットがあるかも、あんまり説明できていないと思います。

MC
Kさん、やっときました。よかったです!

Kさん
すみません、寝坊しました。

MC
遅くまで仕事していましたか?今ちょうど前回の復習とこの前Tさんが出してくれた事例のように、気候変動にいいことをKPIにしていて、それが企業価値とちゃんとリンクしたケースがあったかなど事例を紹介していただけますか?

Kさん
そうですね。一件、北陸の会社で、自分で重油をたいて発電している会社があったのです。発電だけじゃなくて熱もえられてコストがかなり下げられたのです。それが会社のメリットだとアピールされていたのですけど。私も10年ぐらい前はわからなかったんですが、やっぱりCO2の問題からこれを続けていいのかということになり、やっぱり重油をたくのやめるしかないのかなと、会社の方も気がつきまして。今重油からLNGに変える取り組みをしています。それでもまだCO2でるのですが、それでもだいぶ抑えられますし

MC
つまり、最初はコスト削減という企業価値への向上ということで見ていたと。しかしその後それを昨今の社会的な議論から見直そうということについて・・・Kさんはエンゲージメントをしていた?

Kさん
うーん、エンゲージメントまではしていなかったかもですが、話せばその話題がでていました。社内でもそういう議論になって。

MC
やっぱり環境の問題って投資家だけで話を推し進めるのは難しいのかもしれませんね。
Tさん、今の事例についてコメントもらえますか?

Tさん
あの、まあなんでしょうね。やっぱり気候をテーマとした時、CO2の削減量とかがKPIになるのかという意味においては、キャッシュフローと連携して、論ずるべきというお話しだと思うんですけど、それは大いにアグリーです。ちょっと思い出したのですが、過去に投資していた企業についてもうひとつ事例を言っていいですか? 温暖化ガスの排出を抑える上で非常に有効なエアコン用の化学材料を作っている会社の話です。事業内容的にはグローバルでみてもESG投資のスタンダードになるような会社でした。ただ、この会社の良い社会的インパクトを継続的にするための経営課題は何なのかを考えた時に、重要だと思ったのは良いインパクトを持つ製品をいかに安定供給するか。という事でした。彼らしか作れない製品であることから、お客さんは彼らの作っている材料を少しでも買いたい。しかしただ買いすぎると顧客側で在庫が積み上がり需要がなくなる時期も出ます。
結果として堅実な経営を志向する彼らは投資に対し及び腰になっていました。そこで我々が提案したのは需要予測精度の向上です、数ヶ月から一年を見越した需要予想ですね。その手法について提案し、さらにそれに基づいてきちんと設備投資をしませんかと提案しました。私はこの会社はCO2を減らす良いインパクトはあるのですが、彼らにとって大切なKPIはCO2の削減ではなく、適切な設備投資や生産の平準化であると思っており、それがきるかみたいなところをモニタリングしてきたのですが・・・やっぱりKPIって個社独特だと私は思うのです

MC
ありがとうございます。今の話も気候変動のインパクトと、実際のKPIが違うという重要な例だと思うのですが、気候変動のKPIが難しい例なので、ちょっとHさんとKさんの話に戻っても良いですか?
Kさんのおっしゃっていた例は規制とか出てこないと、コスト的にメリットがあっても会社の収益モデルに影響が出てこないわけですよね。社会が何も言わなければ今のままの方がいいかもしれない、規制が厳しくなり炭素税が乗ったりしないと数字としては見えにくいということですよね。そしてHさんのケースは消費者の意識だとか色々なものあって、
もちろんHさんが言っていたように会社が消費者にメリットをしっかり説明することも大事ですが、自動車の場合環境車が売れるとダイレクトに社会にインパクトも企業価値も上がると思いますが、これもまた個人の嗜好だとかに影響を受け、また自分の場合も税制などの差がすごくなければ躊躇するかもしれないと思うのですよね。だから政府が“今年からハイブリッドカー値上げ!EVカーだけ!”と言うかどうかってものすごい影響が大きいと思うのですが、どうでしょう?

Hさん
本当にそこが難しいと思います。企業は今の政府の税制とかにあわせて販売戦略も考えるし製品を出して行くわけです。ただEVはハイブリットと異なり走行中に出すものにかぎればCO2がゼロになるわけです。ハイブリットや燃費の良いガソリン車の場合は減らすって事が出来ても計算式も複雑になる。だからゼロだっていうのが大きいと思うのです。企業の選択も過度的なのかどうかは重要です。Kさんのお話にもありましたが、その時の規制にあれば、コスト的にOKみたいな考え方はあって、でも過度的なものに投資する場合は変数が複雑になるので長期投資の我々には難しいものがあると思います

Kさん
規制との関わりでいうと、正直規制のほうがアクションが早いと思うのです。やらなきゃいけないからやりますよっていうのは、誰に対しても言いやすいです。そのための投資の決断もしやすいです。でもまだ規制が入る前の段階でやっていくには「なんでやるの?」ということになります。「まだハイブリットカー売れるのじゃない?」という時、全部EV
に替えていくっていうのは、政府の支援もあまり受けられないでしょうし、反対を押し切らないといけないというのもあると思います。でも今の社会は変わりつつあり、そこで消費者の声って大事だと思います。だからまだ重油で発電しても良いよねと言われても、考えていかなきゃいけない、と思っています

MC
ありがとうございます。Tさんいかがです? すみません、さっきはTさんがまた出してくれた事例を飛ばしてしまったのですが

Tさん
「いえいえ・・・うーん。またお二人の話を聞いていて違うことを考えてしまったのですが、社会の動きとか、規制で変わって行くというのは事実なのですが、ぼくたちがインパクト投資っていうのを考えた時、それらの変化を読んでいくことも重要ですが、自分たちのフィデューシャル・デューティとしては、どれだけ主体的に変化を起こせるかということを考えるべきじゃないかと思っていて。また規制などが変わったとしても、何か自分たちが考えたことを達成できるような、比較的短期のアウトカムともあるべきじゃないかと思ったのですが

MC
はい、ありがとうございます。そうですね・・・あのまた話のコシを追ってしまってすみません、ここで質問が来たのですが・・・。あと5分ですが、話せるところまで話したいと思います。えーいただいた質問は、東京ガスのケースです。気候変動に対応するために、資本配分を替えて行く、つまり何か資本投資をするという時に、必然的に配当がへるわけですが、こういったことに長期の投資家はどう考えるべきか、ましてや“気候変動の対応をしなさい、しなければダイベストメントしますよ”と言ったような投資家は本来どうずべきか。みなさまどうお考えになりますか?」

Kさん
「投資家は社会の中にいる存在だと思いますので、社会の動きをみながらやっていかざるを得ないのかなと。重油の発電のケースは10年以上前ですが、当時私も悪いことだと思わなかったのです。効率が高まって良いのじゃないかと思っていました。その考えが変わって行くのは重油で発電するならCO2がたくさん出る、だから天然ガスのほうがいいのじゃないかとか、それは社会の変化の中で私自身も変わって行ったというのがあるのかなと。だから考え方を替えて行くためにどうしたらいいのかは自分なりに考えていかないといけないと思います

MC
ただ私は、Kさんは投資において、配当政策は厳しい方だと思ったのですが・・・。重油で発電していた会社がLPGに置き換えたら一時的に投資のコストがかかるでしょうし、オペレーショナルにも高くなるかもしれない、それは株主へのリターンを減らすかもしれない、ということについてはどうでしょうか

Kさん
でも経済的価値といえば、それによって消費者が反発し売り上げが減ったら困るわけだから・・・あるいは従業員が離れていってもマイナスだし。企業は社会の中でどうやって認められて行くのかを考えなければならないのかなと思います。
Hさん
私はこれってシンプルな話だと思っていて、彼らが行った投資が企業価値をあげたらいいと思うのです。配当まで削って投資して、それで企業価値が上がらないのだったら当然それはマイナスです。今は金利すごく低いので、配当で出すより、ちゃんと投資して企業価値があがればその方がプラスになるはずです。

Tさん
私も来週お話しできたらと思います。投資をやるかやらないかは、生き残りをかけたクライメート対応への経営判断として話す話かもしれませんが、何でファンディングするかとは別の話で。例えば配当を維持してその投資ができないかというのはガバナンスの問題だと思います。

MC
では続きは来週話しましょう!

続く

  • 2021-06-292021-07-13
  • by 田中 喜博

上場株インパクト投資の研究 3章(4)

資産運用業界の仲間たちと一緒に、「インパクト投資を上場株に適用する」をテーマとして研究を始めました。スマートフォンアプリのClubhouse上で毎週様々なディスカッションを行っています。皆さまも是非ご参加ください。また本ブログではこの議論の内容をコンパクトにまとめて皆様にお送りします。

リンク:「上場株でのインパクト投資」常設クラブ(Clubhouse内)

6月30日も、お昼の 12時30分より Clubhouse Meeting を行う予定です。

上場株式でインパクト投資 3章 2回下

2021年5月19日 

前回の続き


Hさん
KPIの置き方というのをインパクトを与えるもの自体にしなくていいのでしょうか。その会社が成長していくと結果的にCO2を減らすことができたとしても、CO2の削減目標ってもの自体がなかったとすると、それってインパクト投資のKPIとして適切なのか?と。CO2をもっと減らせる家を作ったとして、しかしその時は(よりコストがかかるなどして)会社の収益を伸ばせなかった場合、企業価値は上がるのでしょうか?

Tさん
・・・な、なるほど。それは考えたこともなかったです。というのは、その会社の企業としての存在意義は、CO2を減らすことだけじゃないと思うのですね。利益をだして従業員を守っていく・・・。即答にはならないのですけど・・・CO2を75%ではなくて、90%減らせる住宅を作ったのでそちらを集中的に売ります、ただし利益は減りますということ。つまりCO2の目標値をクリアできるのであれば利益を減らしてもいいじゃないかということであればそれは違うのかなと。大切なのはCO2を減らすことだけじゃなく、CO2を減らしながら利益を出すことではないかと。

MC
今のケースだと、気候変動だけをフォーカスしたインパクトを考えると、例えば住宅に、欧州なんかであるかもしれませんが、CO2をより減らした住宅を取得すると税制上のメリットがあるとか、そういう“必ず売れる”という政策とセットでないと、そのKPIは利益の予想とリンクしないですよね。そういうことを質問者さんは聞いているのじゃないかと思いますが・

Tさん
いや、そのあの、CO2の削減量だけを目標にしてしまうと、質問者さんがおっしゃるように、政策サイドで「あの目標は間違っていた」とか「そこまで厳しいターゲットでないほうがいい」など後で方針が変わりましたとか言われてしまうと、企業としての取り組みは変わってきてしまうと思うのですね。だからこれは暴論かもしれませんが、私の意図しているインパクト投資としては自分たちの投資のKPIになりえないのじゃないかと

MC
ありがとうございます。Hさんいかがです?

Hさん
あの、すごくよくわかるんですけど、それって、この会社の業績が伸びていくと言う前提があって、その会社の業績が伸びたら結果としてCO2が削減されますねってことなのですよね。そうするとCo2を減らすっていうのがKPIになってないというか、販売数がKPIになっていて、その従属変数としてCO2と業績がでてくるということになっている

Tさん
そうです。そうなのですよ。これだからそのインパクト投資なるものの設計って結果に対する、いわゆる、ロジックというか、成果に対し達成していくロジックがしっかり確立していることが重要で、かつそれに対し、投資家のインターベンション、介入が必ず求められていると思うんですよ。この企業においては、我々は売り上げをきっちりストレッチさせる、つまり事業を通じて環境にも貢献できる、それを加速できるというのがぼくたちのインターベンションじゃないかなと思っています

Hさん
ですので、そういう会社の場合は、CO2を減らすことができる住宅ができたら、その分だけ価格があがって、マージンが確保できる、買った人が何年間かで価格分を回収できるっていう、そういうシミュレーションがあって開発できたらいいなって

Tさん
はい、そうです、それもありです。

Hさん
そういうのがないと、なかなかKPIになりえないのかなと

Tさん
あ、そうです。とってつけたようですが、それもありです。ただKPIとして販売数とマージンの両方を置くととても難しくなるので

MC
つまり質問者さんがいっているとおり、KPIは複雑だと? Kさんはこの件について何かありますか?

Kさん
じゃあちょっと違う視点から・・・今、量の話がありましたが、時間も大事かなと最近思っていまして。ある会社が児童労働を2030年までにサプライチェーンでなくしますよっていっていて、それはいいことだと言われていますが、2030年って、あと9年間はつづくわけですよね。9年だと今10歳の子が19歳。だからそんなにのんびりやっていていいのかと言うことも、考えていかなければならないと今思っているところです。

MC
はい、ありがとうございます。では次の質問にいきましょう。“気候変動に関する投資は他のESG課題より早く重要性が認められた印象があります。欧州の理念や学術的な懸念の浸透が早かったのが要因だと思いますが、ファンドマネージャーとしてはどう思いますか?”これについてコメントをいただけますでしょうか

Hさん
あの・・私の認識としては必ずしもEの話が最初にきていると思っていなくて、日本では今ちょうどそう言うタイミングですが、ESGでいえばGなんか昔から各国で続いている話ですし、Sの話はESGというものをフランスとかオランダが導入した時Sが一番強調されていたと思います。年金の制度を変える時、労働組合のほうはSを注視した会社に投資することを条件に改革を受け入れていると言う経緯もあって、国ごとにその背景は違うのかなと思います。ここにきて地球の気候もすごく荒れていますし、今気候変動(E)がすごく盛り上がっていると思いますが。科学的にどこまで立証されているかとか、よくわからないですけど。少なくとも今は実証されているように説明されているので、そこのところあんまり反発しても仕方ないので、そう言う流れに乗っているというところじゃないでしょうか。

Kさん
流れに乗っているというのは、本当にその通りで。でもみんなで言えると言うことの良さも感じていて。みんなで言えば企業も聞きやすいだろうし、そう考えたらいいのかなと思っていますけれど

MC
はい、ありがとうございます。ではTさんいかがですか?

Tさん
あの・・なんかでも色々読み物も見ているんですが、Eって増えているんですけど、多いのはGとかのほうがまだ多い気がして・・・でも変化は起こっていると思います。これまで欧州の人はクーラー入らなかったのに、夏にクーラーが必要になったとか、オランダって治水の問題がえらいことになっているとか、Eに対する潜在的な意識はあったと思いますし、人類共通の課題として認識しやすいというのがあるんじゃないかと。またそれをパッシブのユニバーサルオーナーとして、課題として取り組む上で取り組みやすかったというのがあるんじゃないかと思います。ある意味メカニカルに横比較できるし。ただ、そこで思った以上のマネーフローが起こっていて、投資家がそこに追随する中で株式市場内での需給が変わってきちゃって、なんだかわからないけどとにかくEだって言っているケースもあるんじゃないかと思います。今日お話ししてつくづく思ったんですけど、アクティブで、個別にアウトカムを意識してインターベンションを意識した投資をやっていく上ではEって難しいですよね・・・。

MC
はい、ありがとうございます。みなさんがおっしゃったようにGのほうが歴史も長く、いろんなCGコードを導入した国で政策とかも古くからセットになって、投資家も動員して一緒に企業のガバナンスを良くしましょうという投資もあったと思うんですよね。でもこの質問者さんがおっしゃりたいことは、他のESG課題より早く重要性が認められた・・ではなく気候変動はただ他のEの課題よりも早く重要性が認められた・・・ではないかと思っているのですが、GとSはダイメンションが違う気がするので・・・。もしそう考えた時、Eの中にはいろいろな可能性があって、気候変動が非常にハイライトされている。排ガスとか・・・でもゴミの問題だともっと重要だと思いますけど。

Tさん
難しいですよね。ペットボトルを見て、悪の根源だと思う国もあれば、まだクリーンでリッチになった象徴だと感じる国もある。ただまあ、ぼくフィリピンの人とよく話すんですけど、彼らは環境に対する意識すごく高いですよね・・・

Hさん
私もこれからどんどんそういうの出てくると思うんです。特に今の消費の主体となっているZ
世代はすごく感心があるということで、いろいろな企業が広告の対象にしたい世代の人がそう言う高い意識を持っているということで、企業も意識しているし、無視できなくなってきていると思います。

Kさん
今フィリピンの話がでましたが、ケニアとかルワンダとか、ポリ袋に関してはすごく厳しくなっていて、現地に行って思ったんですけど、環境は先進国だけの問題じゃないということは認識しなくちゃいけないし、日本はそういう意味では遅れていると思います。

MC
そうですね。テーマとしては重要だと思うんですが、投資のテーマとして気候変動が取り上げられたのは、それがESG的に、前の質問者の方のご指摘じゃないんですが、ESG的に良いことかどうかも重要なんですけど、気候変動が産業にとって重要だったからという見方もできると思うんですね。気候変動に向けた事業にもっと投資して欲しい、今のところゴミの問題についてそういうアウトカムが見えにくいのかもしれないと思ったり・・・。

Kさん
法律とか政治でできることもあると思っていて、そういうのとあわせてやっていかないといけないんじゃないかと思っています。

MC
Eについては、G以上に“投資家の力を借りたいい”というのを堂々と言っている政府やレギュレーターもいるので、優先順位付けが出てしまう、これが二人目のご質問者の方が質問したかった背景にあるんじゃないかと思います。では時間になりました。次回もご質問を受け付けていきたいと思います。ぜひみなさまご意見・ご質問お待ちしています。

(続く)

  • 2021-06-162021-07-13
  • by 田中 喜博

上場株インパクト投資の研究 3章(2)

資産運用業界の仲間たちと一緒に、「インパクト投資を上場株に適用する」をテーマとして研究を始めました。スマートフォンアプリのClubhouse上で毎週様々なディスカッションを行っています。皆さまも是非ご参加ください。また本ブログではこの議論の内容をコンパクトにまとめて皆様にお送りします。

リンク:「上場株でのインパクト投資」常設クラブ(Clubhouse内)

本日、6月16日も、お昼の 12時30分より Clubhouse Meeting を行う予定です。

上場株式でインパクト投資 3章 1回下

2021年5月12日 

(このブログは毎週水曜日のお昼からクラブハウスでオンエアしている“上場株でのインパクト投資”を綴ったものです)

Tさん
たとえば脱炭素で東南アジアのプラントから撤退という話が出た時、人類にとってはいいことかもしれないけど、そこで生み出されていた雇用みたいなものをどう考えるべきか。ちょっと事例としてお話しすると、私はかつてペットボトル製造装置を作っているところがありました。非常にいい経営で資本効率も高く、利益率も高く、株主利益を生んでくれる会社でした。経営陣としては、今、ペットボトルは自然破壊の権化みたいに言われていますが、軽くて造形性が高く、途上国においてはリッチになっていく象徴だったんですね。だから生活が向上することに貢献していく一方で、それが捨てられることによって自然環境を破壊するという両面があって、私がその時言ったのは“企業価値をどんどん作っていくという意味で応援したい、ただその中でサステナビリティを高めるために、少しでも再生可能なペットボトルの方にシェアをもっていくような経営をしてくれないか”という提案をしました。だから私もインパクト的には“途上国の暮らしをよくする”のほうにベッドしようと考えました。

MC
今のTさんの話は、環境問題でひとつのインパクトを考えていた時、他の雇用とかのインパクトとバーター関係になってしまうことがあって、そのジレンマで苦労されたと・・・今のようなケース、Kさんはどう思いますか?そのオランダのケース、環境を重視したために、何かが不便になるとか、そういうことはありませんでしたか?

Kさん
不便になることはあると思います。お金も使うんでマイナス要素もあると思います。でもそれでも、お客さんがついてきたりしてプラスの要素がある、総合効果を考え、企業が永続していくと考えてプラスになると思いながらみんなやっているんじゃないかなと思います。

MC
あと今のTさんの話は、以前Hさんが言っていた、“大きな方向としては問題なんだけど、細かいところをみるとそのために潤っていて株価が上がっていたり、雇用が伸びていたり・・・だから一件、一件丁寧に見ていなくちゃいけないと言っていたと思いますが、Hさんどうですか?

Hさん
そういうことってすごくあると思います。でもそういう時、本当に企業は長期的な価値を生むかが重要なんだと思うんです。わかりやすい例としては・・・・たとえば製品でトラブルが生じて、全部回収したとかいう会社もあったと思うのですが、そういうところで消費者のことを考えて行動した、ていうような。わかりやすい部分と、そうではなくてこっちをやると、あっちが困ると結論が分かりにくいもの、そういうのが困ると思うんです。

Kさん
Hさんがおっしゃったようなことって本当によくあると思うんです。たとえば夕張の町を考えたら、町自体が破綻したわけで、転換していくのは非常に難しいことだろうなと思っています。

MC
昨年、オーストラリアの投資家と議論する機会があったんですけど、その時聞いた話として、“今雇用がある”といってもずっと続くのかも投資家は考えなくちゃけない、と。つまりその企業のビジネスがサステナブルなのか・・・それがこのサステナブル投資などの議論の始まりだったのではないかなと。レギュレーションや環境の変化によってビジネスは変わるわけですよね。そのベットボトルを購入している先進国のトレンドが変わって、売れなくなるかもしれない。投資家は早めに先をみて企業に言っていかないと長く投資をすることが難しいということじゃないかと。

Tさん
それはその通りだと思います。これがインパクト投資、多くの人にとってプラスになることを生んでいくものなのではないかと。協会のチャリティーと比べると、我々は上場株に投資をしているわけで、そのインパクトを大きくしていかなければならないのですが、逆に忘れてはいけないのは、どういったポジティブを本当に生み出したいのか、そこにくっついてくるネガティブをミニマイズする・・・そう考えると企業サイズが大きくなってくると難しいのかなと思ったりします。

MC
そうですね、ESG全体のいろいろな要素のなかで、“セット”になっている、ポジティブとネガティブで、裏表になっているようなインパクトがあるかもしれない。ところで雇用もそうですし、前回の人権問題などは、多くの人がどう考えるかに投資先企業の将来は影響を受けるのかなと思うんですが、環境はレギュレーションとか、政策の影響を受けるのかなと思うんですよね・・・。企業の事業において、途中で転換するのが難しいようなことがあって、だからレギュレーションなんかの動きをウオッチしなければならない・・・そう感じることはありますか?

Hさん
すごくあると思います。特に日本の企業とエンゲージメントする時気をつけなくちゃいけないことがあって、日本の企業ってまじめなので、“本当はこれがただしい”ということを自分たちで一生懸命考えて行動していることが多いんですけど、それがグローバルなスタンダードをみると違ったりする・・・・ということがよくあるんです。でも環境とかはいろいろな考え方があるけど、独りよがりではいけなくて、ヨーロッパではこうなっているけど大丈夫かとか、きいてくことが大事だと。

MC
日本の企業でよく、“そうはいってもこれが必要”という人けっこういるんですよね。2度シナリオがいいとか、1.5度が必要とかいう人がいますが、それがいいか悪いはともかくとして自社だけでどうにもならない、影響がレギュレーションとか政策からやってくる、そういうのは環境にいいかどうかだけを真剣に考えると歯車が合わない感じがしますね。

Kさん
ちょっと外れたこと言っていいですか? 企業って変わっていかなきゃいけないと思うんですよ。さっきTさんが大きな会社は変わりにくいんじゃないかというような意味のことをおっしゃったおと思いますが、企業を変えていくために投資家ができることは、やっぱり背中を押してあげることじゃないかと思っているんです。投資家が集まれば、それが大きな声になっていくと思っているんです。昨日JSRという会社が発表をしたんです。ゴムの会社で、タイヤを作るための国策会社なんですけど、タイヤ部門を売ると。そういう祖業である事業を売ってもやっていくんだぞ、と。大きな会社でも変わっていけるんじゃないかなと。

MC
そうですね。たしかに環境関係で、大きな会社で鉄を作っている会社で、ずっと高炉は石炭じゃなきゃダメなのだっていっていた会社も、水素で製鉄するとかいう時代ですから、大きな会社がコアビジネスで変わらなきゃいけないことがあって、そういう時に投資家が向かい合う時もありますよね。で、それとは別にさっきHさんがいっていたのは、企業が一生懸命変わろうとするんだけど、環境に関することはレギュレーションの影響が大きいので、自分で“良い”と思うだけではダメという点についてはどう思いますか?

Kさん
・・・そうですね。企業が独りよがりで考えている、って結構多いかなと。まじめにいいことやろうとして、たとえば太陽光のパネルを、畑を潰して接地している遠路がよくあるのだけど、それがいいことかと言われると、私は少なくともいいとは言えないと思います。
だから目的がどこにあるかを考えながらやっていく必要があるし・・・。

MC
あと2分です。最後に一言ずつ、おっしゃりたいことがあれば。まずTさん、いかがですか?

Tさん
そうですね、私はどんなであって企業も生き残って、ちゃんとやっているということは、社会の何らかの便益を満たしていると思うのです。で、私が社会インパクト投資を上場企業への投資で取り組もうと思った時に考えたことは、“いいところもあるけれど、悪いところもある”ということになると、やはりターゲットを決めていいところのインパクトに力を入れて、悪いところを少しでも落としていくということにフォーカスしていかなければいけないのだなあと思っています。

MC
時間がきてしまいました。Kさん、Hさんへの質問は次回取り上げます

続く

  • 2020-01-22
  • by 田中 喜博

あすか新春セミナーを開催しました

1月9日(木)あすか新春セミナーを無事に終える事が出来ました。ご来場いただいた皆様、ご協力頂いた皆様。本当にありがとうございました。

三部構成のセミナーは、第一部においてSMBC日興証券のチーフ株式ストラテジストである圷正嗣様に2020年の市場環境と投資戦略についてお話頂きました。2020年にグローバルで見た日本市場の魅力度の高さやガバナンス改善により強化される日本企業の優位性についてお話頂くなど大変勇気づけられる内容でした。

第三部は元オリンピック日本代表の為末大様により「自分を知る」とのテーマでのご講演を頂きました。長い競技人生を通じて悩み、考え、ご自身で道を切り開いてこられたお言葉は強くそして優しく、投資との共通点も大変多かったです。

そして第二部は「多様化する対話型投資の現状と今後の展望について」とのアジェンダの下、株式会社ストラテジックキャピタルの丸木剛様、りそなアセットマネジメント株式会社の松原稔様、そして私によるパネルディスカッションを圷様にファシリテート頂きました。私自身も自分達が取り組むバリューアップ型のエンゲージメント投資についてお話をさせて頂きました。

第二部についてはセミナー後の参加者の方々とのお話しの中で「所謂投資先企業と対話を行うタイプの投資家ではあるものの、三者(社)三様のアプローチが大変対比的で面白かった」とのご感想を頂きました。主催者冥利に尽きるお言葉です。また同時に私自身は「投資に取り組む中で何をもって成果とするのか?」との圷様の問いに対して、三人のパネリストがそれぞれ迷うことなく「それは当然投資リターンです」と答えられていた事に勇気づけられました。

世の中で対話型の投資についての認知が高まりつつ反面、外部に対する説明責任も強化されつつあり、近春改定が予定されているスチュワードシップコードにおいてもサステイナビリティーとESGを軸としたエンゲージメントとその効果検証などが導入されることが見込まれています。

日本における運用の質を高めていくためにもこれらに真摯に対応していく事を心掛ける事は大切ですが、その結果として何を実現するのか?を見失わず、それぞれが信じる投資哲学の実行を通じてアセットオーナーが求めるリターンを追求しなければならない事をあらためて確認できました。

  • 2019-12-252019-12-25
  • by 田中 喜博

「あすか資産運用勉強会(大阪)」を終えて

12月23日「企業との対話がどう株式投資の効果に結びつくか」と銘打った勉強会を大阪・北浜の大阪証券取引所 北浜フォーラムで開催させて頂きました。内容としましては同月2日に東京で開催させて頂いた内容とほぼ同じものではありましたが、私達にとっては初の大阪での勉強会ということもあり緊張感をもって臨ませて頂きました。

第一部はスチュワードシップコード・コーポレートガバナンスコードからESG投資につながる一連の流れを整理し、第二部はエンゲージメント効果の計測手法、第三部・四部であすかのエンゲージメント手法のケーススタディーについてお話させていただくという構成でした。

当日は在大阪・京都・神戸のアセットオーナー各位にご参加頂き、いくつかの鋭いご質問を頂けました。「概念的には理解が進むものの、アセットオーナー各位にとっての真の投資意義については未だ明確には見えないESGを軸とした投資に、我々インベストメントマネージャーサイドがどのような解を提示できるのか?」 「私たち自身は肌感覚をもって体感しているエンゲージメントを通じた企業変革の実態をどのようアセットオーナーにコミュニケーションしていくべきなのか?」といった重要な視点でした。今後とも現場に携わる立場として、実体験に基づく知見を皆様にお返しできればと考えております。

この場を借りてお礼を申し上げると共に今後の弊社の取り組みにもご注目頂ければ幸いです。計5名で東京から伺いましたが、帰りは三々五々の散会となりました。メンバーの一人は新大阪でかねてよりの念願であった蓬莱の豚饅とシュウマイセットを購入し帰路に就いたようです。また伺います。

  • 2019-12-102019-12-10
  • by 田中 喜博

「あすか資産運用勉強会」を終えて

12月2日「企業との対話がどう株式投資の効果に結びつくか」と銘打った勉強会を日比谷図書館セミナールームで開催させて頂きました。敢えて小規模の会とさせて頂き、参加者の皆様と密にお話が出来ればと狭めの会場を押さえたのですが、結果として20名近い皆様に参加頂きました。折からの豪雨にも関わらず足をお運び頂いた皆様に心よりお礼を申し上げます。

限られた時間ではありましたが、スチュワードシップコード・ESG投資の現況、エンゲージメントの効果計測、企業様との対話手法とケーススタディーといったトピックスについて、それぞれの分野で実務に従事するメンバーが順番にお話をさせて頂く事が出来ました。

昨今注目が集まるエンゲージメント型投資ですが、外形的な情報に比して、実務面での情報は未だ少なく、実際のところ何をやっているのか?というお問い合わせも頂く事が増えて参りました。このような場を少しでも増やして投資家の皆様のお役に立てればと考えています。

この場を借りてお礼を申し上げると共に今後の弊社の取り組みにもご注目頂ければ幸いです。

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