元旦の「ジオヒルズ」ワイナリー訪問
本年の年越しは、いかがお過ごしでしたでしょうか。私は長野県小諸市にある実家に帰省しておりました。長野県小諸市は、年間平均降水量も少なく、晴れが多い地域です。イメージ通り、今年の元旦は清々しい晴天に恵まれした。
朝、家族そろっての朝食を終えると、お出かけ好きの両親から「御牧ケ原の台地の上に綺麗なワイナリーができたので行ってみよう」と声をかけられ、元旦午前中から車に乗り込み外へ出ました。御牧ケ原の台地は、360°の展望が開け浅間山、富士山、北アルプスまで見通すことができる素晴らしい場所であるものの、人がほとんどいない穴場スポットという印象を持っていました。しかしながら、行ってみると台地の上に小さいながらも御洒落な「ジオヒルズ」というワイナリーが建てられ、駐車場には元旦午前中にも関わらず数台の車やマイクロバスが停まっています。中に入って見ると、小さなカフェが併設されており、ほぼ満席。元旦午前中から、多くの人が集まり賑わっており、我々家族も淹れたてのコーヒーをオーダーし、温かい暖炉の前で家族水入らずの時間を過ごしました。
(車で来ていたこともあり、ワインはまた次回という事になりました)
仕事柄、経営者がどのような人か気になり、家に帰って過去の新聞記事を調べてみると、小諸で120年以上続く老舗温泉宿の5代目荘主とのこと。「小諸の土や、昼夜の寒暖差があり降水量も少ない小諸の気候風土を活かした農産物で、お客様をもてなしたい」と思い、2002年からぶどう栽培に着手。その後、2007年に目標としていた宿の名前を冠した「中棚ワイン」を委託醸造で立ち上げました。2018年に温泉宿の荘主を次代に引き渡した上で、ついに自らの手でワイナリーを立ち上げたとのことでした。これらストーリーが、新聞に「挑戦者たち」という題で掲載されていました。この5代目荘主の思いや実行力、またそれが新たに地域に与えるであろう活力に思いをはせ、元旦から一人胸を熱くしておりました。
改めて、正月気分を抜けて自身の本業に立ち返ってみると、本年はスチュワードシップコードの改定の動き等を受け、ESGがこれまで以上に広く一般的に注目されてくる年になると想定しております。一方で、その一般的な認知拡大の様相に対して、ESGを実際の経営に落とし込むということになると、その施策や手法は各企業の状況や経営戦略と調和した特殊解である事への認識は未だ弱いのではないかとも感じています。今回のワイナリーの事例のように、ESG的視点を経営として結実させるには、当該地域の特性等、夫々個別具体的な環境認識に基づく、経営者や従業員の思い・ストーリーが前提となるはずです。我々は、投資哲学の一つとして「パートナーシップ型投資」を掲げて、日々業務に取り組んでおります。社会的な潮流としてのESG・SGDsの動きには注目しながらも、その前提として我々の原点である、投資先企業様個別の経営課題に集中し、その熱を感じ、成長を応援し、そこから生まれる果実を当該企業様やスポンサーの皆様と共有していきたいと思います。
本年も精一杯精進致します。