10月7日(月曜日)第六回となる、京都大学経営管理大学院様とあすかアセットマネジメント、弊社の共同セミナー『政策主導で規制が強化される企業ガバナンス』~企業と投資家はどう対応するべきか?~を無事終えることが出来ました。講師・パネリスト各位及びご参加頂いた皆様に心より感謝申し上げます。

今年は有価証券報告書の開示基準が強化される等コーポレートガバナンスを巡る環境整備にさらに一段の進化が見られたように感じています。ガバナンスを支えるための「器(うつわ)」が着々と準備される中で、それをより実効性あるものにするために当事者は何を考えるべきなのか?という点について、当日は現役の独立社外取締役、大手機関投資家のエンゲージメント担当者、そして弊社のメンバーという事なった立場の方々に、様々な議論をして頂く事が出来ました。参加者各位も勇気づけられたのではないでしょうか?

さて、その中で私が一つ強い印象を受けたのは、上出のエンゲージメントを担当されるパネリストの方が言及しておられた「議決権行使において株主が投じる票は企業の将来に対する影響を有している事を忘れてはならない」とのメッセージでした。例えば昨今増えつつある、海外のいわゆるアクティビスト型株主による提出議案についても。勿論株主提案であることを前提とした可否の判断はしないが、定款変更等については特に最新の注意を払っておられるとの事。何故ならば定款変更は企業としてのビジネスそのものに変化を与え、ひいては企業の将来に変化を与える可能性があるにも関わらずその議案に賛同した自分たちを含む株主が将来時点において株主である保証がないためだから。との事でした。

会社は誰のものか?とは永遠の問いであり、今回のコラムのみで語るにはいささか大きすぎるテーマですが、上出の「将来への責任」は、現在進みつつあるSDGs等のテーマとも相通じるものがあります。本件を巡っては所謂海外アクティビストによる株主提案に対する賛成票の低さを、日本市場の後進性の証左として語る論調も見られます。それぞれの立場や主張は異なって当然ですが、同パネリストの方のメッセージと同様に、私達は「その提案は合理的に考えて企業の将来キャッシュフロー≒現在の企業価値を強化するものか否か?」という視点で個別に判断するよう心がけています。逆に言うならば、企業の現時点における価値を取り合うのではなく、他の株主も喜んで同意したいと思えるような全体最適解を提案できる能力が株主にも求められるのではないかと感じています。精進致します。