「令和のコーポレートファイナンス3大トピ…
8月に引き続き上記の題材を元に第二回目の勉強会を開催いたしました。前回と同じくあおぞら銀行様のホールをお借りし、今回は「PBR問題の本質」をテーマに約40名の参加者各位と同問題について議論しました。
さて今回。前半は同問題に関する理論的な解釈とありがちな誤解について説明を行わせて頂きました。PBR1問題について考え方や理論的な背景、特に良く引用される配当割引モデル・残余利益モデルの導出プロセスやその前提条件などを提示して、その限界や制約について解説を行いました
後半は前半の理解に基づき、東証の開示要請が始まってからの約二年間のデータを基に、PBR1倍問題を実際に解決出来た企業群に何が起こっていたのかを分析しました。
全体像として、TOPIX採用企業のPBRの状況を見てみると、22年9月末時点でPBR1倍以下であった企業の方が、PBR1倍を超えていた企業と比べて、PBRが改善している傾向が見えました。一方で、PBR1倍以下であった企業が1倍を超えられた企業は204社と多いとは言えない結果となりました。これらは、東証の要請等もあり、PBR1倍以下の企業に対する市場の評価や企業自身の取り組みに変化が見られた一方で、1倍を超えるということについては、企業の本質的な取り組みや置かれる環境の大きな変化や必要であるという点を示唆しているように考えます。
加えて、PBR1倍以下から1倍を超えた企業にフォーカスを当てて、アクティビストの投資の有無や、ROEやPERの観点からのPBR改善の要因分析を行いました。これらを通じて、前半の理論編との橋渡しをしながら、理論に適合している点、相違している点等、お話をさせて頂きました。
勉強会後は飲物を手に参加者各位で交流を行って頂きました。日頃上場企業の経営・IRの第一線で働かれる参加者各位の横の繋がりに資する事が出来ればと願っております。次回は10月に開催を予定しております。また本勉強会における考察については別途本ウェブサイトで共有させて頂ければと思います。