資産運用業界の仲間たちと一緒に、「インパクト投資を上場株に適用する」をテーマとして研究を始めました。スマートフォンアプリのClubhouse上で毎週様々なディスカッションを行っています。皆さまも是非ご参加ください。また本ブログではこの議論の内容をコンパクトにまとめて皆様にお送りします。

リンク:「上場株でのインパクト投資」常設クラブ(Clubhouse内)

7月21日は、お昼の 12時より Clubhouse Meeting を行う予定です。

上場株式でインパクト投資 4章 1回下

2021年6月9日

(このブログは毎週水曜日、クラブハウスでオンエアしている“上場株でのインパクト投資”を綴ったものです)

MC
20銘柄ぐらい投資すると、1社が2、3個の成長のドライバーがあって、そうすると60個ぐらいのKPIをウオッチすることになる?

Hさん
会社ごとにKPIが違うのでそういう感じですが、ただ3つのうち全てが社会インパクトにつながるというわけじゃないです。だから20個ぐらいかな・・・。

MC
この20個はテーマ的に相関しないのですか?

Hさん
相関するものもあります。でも相関しないテーマを10個ぐらいは持ちたい。全部が相関すると、一つの前提が違うと全部崩れてしまうので。10個ぐらいあれば、何かがダメでも何かで補えたりします。それがあるから、お客さんがポートフォリオマネージャーに預けるのだと思います。

MC
ちなみに、今、もちろんいろいろ、色々あると思うのですが、Hさんにとって大事にしているKPIはなんでしょう?

Hさん
そうですね。日本が高齢化にむかっていて、その中で特に人材の採用が難しい中堅の企業は人手不足の中でどんなに効率的に仕事ができるかとか、効率化に貢献できる会社には注目しています。

MC
なるほど

Tさん
あの、例えばSDGs的に重要度が増しているものって確実にあって、KPIというよりアウトカムと呼ぶべきなのかもしれませんが、投資を通じていいインパクトを出せるビジネスを増やすというのを目指しています。ただ、KPIっていうのはそのアウトカムに合理的に向かうための内部的・・・・外部に出してもいいかもしれませんが、指標ですよね。だからバランススコア的なものに結びついていくと思うのです。そうすると、財務数値をしっかり出していくために雇用をつくっていくとか、採用をしっかりやっていくとかいったKPIが必要になるのだと思います。ただ成長サイドに加えて、守りの方もしっかり固めていきましょうというマテリアリティのところを、成長のためのKPIとは別にたてていくというのがあって。ESGでいうS、雇用のところなど、そういうのが重要度を増していると感じています。攻めだけでなく、守りのところが

MC
Hさんは高齢化、働き手が少なくなる中でその助けになるビジネスなどがいいのじゃないかと思っている、Tさんは事業によらず、従業員をどう大事にしているとか、そういうことでしょうか。

Tさん
うーん、言いたかったのは攻めのKPIと、守りのKPIがあるってことなのです。攻めのKPIは財務データに結びつくので、いわゆる従来型のエンゲージメント投資にも近いですよね。ただ現状のインパクト投資の管理手法は網の目が大きすぎてそれをモニタリング出来ない気がするのです。もちろん従来のエンゲージメント投資にはなくて学ばなければならないこととしてリスクサイドをしっかりおさえていくというのがあって、その意味では守りのKPIの重要度も高まっている・・・ということ。

MC
わかりました。でも今はとりあえず、いろいろちょっと置いておいて、今どんな投資をしたいと思っていますか?・・・日本の問題をどう解決したいかとか?

Kさん
変わるには、仕組み自体を変えないといけないと思うし、それをする会社に投資したいのです。一般的に“いい会社”ではなく、変えていくことができる会社、それはバックグラウンドとして、その仕組みがある会社、技術がある会社に投資をしていきたいと思っています。

MC
Kさんは、たとえばゴミ処理の技術をもっているとか、“この会社”あるいは“この技術”がいいという会社ではないところをあえて見ていこうとしているからで、今そのように思われるということですか?

Kさん
うーん、それだけじゃなくて、いいところを持っている会社でも、それがいいということが顕在化していない会社もみています。

MC
ではKさんが、“この会社変えていく力ある”、“いいインパクトがある”と思う会社の事例ありますか?

Kさん
たとえばゴミ。田舎にいくと、そこら中に電気製品とか捨てられているんですよね。それを変えていくにはどうしたらいいか、というのはちゃんと会社が対応するしかないと思うので、それができる会社。またプラスチックにしてもいろいろ言われていますが、それをちゃんと処理できればいいので、そういう仕組みづくりをしようとしている会社を応援したいと思います。

Tさん
私は、社会が壊れ始めているなと感じているので、それを食い止められる事業を増やしていきたいと思っています。最近考えているのは中小企業のエンパワーメントをどうしていくか。DXをどうやって作っていくかなどに取り組んでいます。弱者に機会が与えられなくなったらいけないと思っていまして。。。だからそのための企業を選んでいきたいと思っています。

MC
そういう企業はどうやって見つけて、見極めているのですか?

Tさん
そこについては、通常のビジネスモデルチェックをするということかなと。

MC
それをどうやってオーナーに説明していますか? 

Tさん
それはできなかったら運用の仕事やめたほうがいいです!

MC
ははは。でもこういうインパクト投資でモデルができたりしているのは、“説明”をしやすくするためですよね。SDGsの17個のゴールもそうですよね。何を目指しているのかとか。色々なことが言われていますが、どんなインパクト投資でもいいと思うんですね。共通のゴールをアセットオーナーとどう共有するか、どう進捗を説明するかはKPIなのかなと。

Tさん
あ、確かにそれは社会インパクトを定量的に説明するというのは別です。そうなるとやっぱりサービスの導入率とか・・・ただ内部的な取り組みもみないといけないですよね。エンジニアが増えているかとか・・・

Hさん
私は企業のタイプごとに見なきゃいけないことを決めています。大きな枠組みを決めていて、セグメントごとにこことここを見るって決めているんです。経営者もタイプごとにわけていて・・・

MC
その分け方とか、詳しく聞きたいので、来週はここから再開しましょう。