資産運用業界の仲間たちと一緒に、「インパクト投資を上場株に適用する」をテーマとして研究を始めました。スマートフォンアプリのClubhouse上で様々なディスカッションを行っています。皆さまも是非ご参加ください。また本ブログではこの議論の内容をコンパクトにまとめて皆様にお送りします。

リンク:「上場株でのインパクト投資」常設クラブ(Clubhouse内)

11月3日は、お昼の 12時より Clubhouse Meeting を行う予定です。

上場株式でインパクト投資 4章2回下

2021年6月12日後半

(このブログはクラブハウスでオンエアしている“上場株でのインパクト投資”を綴ったものです)

MC
では、今お聞きしたような点をアセットオーナーにどう説明しているかお聞きしていきましょう。まずHさん、その3つにわけたのをどんなふうに成果を・・・成果が現れるのは翌年ではないでしょうから、毎年アセットオーナーに説明する時どんなふうに進展を話していますか?

Hさん
全部の銘柄を説明することは現実的ではありませんし、そもそもアセットオーナーも全銘柄について説明されても困ると思います。運用報告のたびにその期で特徴的で、それから寄与度が大きいところを中心に説明しています。

MC
なるほど、つまり三十社のなかですごく大きくなったり小さくなったりするところを見ていて、あんまり変化のないところはアセットオーナーに話さないということでしょうか。

Hさん
 そうですね、元々リターンの寄与度が大きいところについてついてその原因と今後の方針を説明します。、エンゲージメントの成果が出た場合もそれが自分たちがやった行為の結果もあり思った方向に動いたのか、その他のことの影響で動いたのかについても説明します、ただ、そもそもエンゲージメントは多くの場合、他投資家も同じような問題意識をもっているので、 “自分たちはこの様な活動をしてきたけど、他の投資家もこう言っています”っていう感じで説明していますね。

MC
謙虚ですね。結構外国のファンドマネージャで“俺が、俺が”っていう人いますよね?

Hさん
まあ、やったことについては嘘じゃないでしょうから言ってもいいのでは。ただそれがどれだけ企業経営のデシジョンメークに関わったのかというと、なかなかそれって簡単じゃないし・・・・取締役会に入っていって言うことができるわけじゃないですし。“自分たちはこう言いましたが他の人もこう言ったと思います”とかいうしかないですよね。

Tさん
私の場合は、アセットオーナーへの説明に際してはパフォーマンスとそれに自分たちがどう貢献したか、どういう変化が起こったかを説明してるわけです。注意しなければならないのはKPIと言った時に、CO2を減らします、気温上昇を抑えます、それに対してどう貢献しましたかっていうのはなかなか語れなくて、もちろん長期のアウトカムとして実現したい社会は気候の話であったりCO2の排出量出会ったりというのがあると思うんですけど、モニタリングの対象になっても投資家としてできるのは、さらにその前段階にあるKPIとして、例えばアウトカムを実現するための環境投資をどれだけできたのか、それを実効性をもって計画的にできたのかという事にになるのではないかと思います。つまり結果変数としてのアウトカムと説明変数としてのKPIを間違えないようにしないといけないと思ってます。さらに我々が変化に貢献するインパクト投資を行うためには、アウトカムに対して、いかに付加的に変化を起こせたかが重要で、気候やCO2がアウトカムなのも間違いではないのですが、そのさらに内側にあるものをKPIにしていかないといけないのではないかと思います。いえば、それに近いものを我々はクライアントとコミュニケーションしている・・・ということでしょうか。

MC
EUとかでもわずか数年前は「え?上場株でインパクト投資?」って言われていたのに、これだけインパクト投資重要だよねと議論されるようになって、でも本当は長期投資だからながーい期間のアウトカムをうまく説明できている人はまだいないかもしれませんよね。Tさんが言ったように、CO2を減らしますとかいって、そのこと自身はエミッションでモニターしていて、まあエミッションは直接的なのかもしれないけど、モニターしている数字たちが本当に10年とかで価値になっているかは分かりづらい・・・まだ検証できていないかもしれませんね

Tさん
なんか、因果がはっきりしないんですよね。投資家によるものなのかどうか・・・KPIがもつ意味というのは実際の結果が出るには時間がかかるんだけど、その過程が着々と進んでいるのか頓挫しているのかを確認するための指標で・・・だからもう少し足元に近い方が位いいんじゃないかと思います。

MC
なんかその・・・、まずは長期投資ですということで、長期投資は株価など頻繁にうごいてしまうものは説明要因として難しい、では財務は?といってもすぐに成果はみえない・・・そこで長期的に社会にインパクトを与えるKPI・・・モニターする数値があればアセットオーナーとわかりあいやすいかもしれない・・・というような議論を過去にこのセッションでも話したと思うんですけど、ではそういうことで何をモニターするのがいいのかという質の問題に入ってきたかと思います。というわけでKさんいかがでしょう?
Kさんがバリバリ運用されていたころは、あまりこういう説明はオーナーにされていなかったかもしれませんが・・・それでもご自身の中でモニターしているKPIがあったのではないかと・・・

Kさん
はい、私は散々KPIが大事だと言ってきたんですが、でも本当にそれでよかったのか、今すごく悩んでいるところです。たとえば今回のみずほのシステムの問題があったと思いますが、みずほのKPIは“システムを絶対止めない”だったんじゃないかと思うんです。でもそうじゃなくて問題を大きくしない、止まったらすぐ直す、にしていなかったからああいう問題になったんじゃないかと。システムなんて絶対壊れるのだから止まるのはあたりまえで・・・だからそれに対応できなきゃいけないわけで・・・

MC
そ、そこすごく聞きたいんですけど。システムが止まった時すぐ対応することができる会社のKPIってなんです? どうやってモニターします?

Kさん
・・・・でも、そこをちゃんとするマニュアルができていなかったんじゃない?

MC
そうすると、マニュアルをチェックしますとか?モニタリングポイントって・・・どういうことをみておけばいいのか・・・

Kさん
・・・セキュリティの人たちがそういう報告書をつくって投資家に見せなきゃいけないんじゃないか・・・。そういう話をセキュリティの人たちともしているので、経営陣だけじゃなくて、投資家ともコミュニケーションすべきかと。それをぼくらが分析できるかというと厳しいなと思うけど。でもこういうふうにやろうとしているんですということを説明してくれるだけでも違うと思います。

MC
そうですね、そういうガイドラインがあって、社内でどういうことを決めているかとかを開示してもらって投資家がチェックしてというのはあるかもしれませんね。でもそれってサイバーリスクなんかも大きくなっているから、どの企業でもやらないといけないかもしれませんね。

Kさん
全ての企業がみんなそうで、環境リスクも同じですけど何か問題が会った時、どう小さく収めるかというのは会社として考えておかないといけないのではないかと。

Hさん
うーん、企業のその手のことを詳らかに全部聞くのは大変というか、仮にみずほがそれを開示していたとしても、それをきっと全部読めるかというと・・・集中投資だったら読めるかもしれないけど、投資先は少なくてもモニタリング先は結構あると思うんですよ・・・入れ替えたりするし。それを全部見るというのはちょっと大変すぎて・・・それは社外取締役とかに頑張ってもらいたいなと思いますね。

MC
そしたら社外取締役をチェックすればいいかもね。社外取締役がシステムのこともわかるかどうか。それも見れるようなメンツになっているのか。

Hさん
それもあるけど、今回のことなんかは企業カルチャーというか、リスクに対する対応度とか。それを我々がチェックする時は、過去の歴史とかみて、理解しようとしてますね・・・・マニュアルとかじゃなくて。こういう対応をしてきたからこういうカルチャーの会社なんだとか。

MC
何よりも大きな障害を起こしてしまう会社を避けないといけない、あるいはエンゲージメントで防止しないといけない?

Hさん
こう言ったことは起こると思うんですけど、そのときどうするというコーポレートカルチャーを見る・・・そういうことかなと。

MC
銘柄数少ないTさんはどうです?

Tさん
とっても難しい問題だと思っていて、でも企業のインパクトの特定や管理についてはある程度クリエイティブであるべきで、外部が決めたタガをはめすぎるのは良くないなあと思っていて・・・。でもリスク管理についてはあるていどタガをはめていった方がいいんじゃないかなと思ってます。つまりインパクトを生み出すことと、リスクを下げることは別に考えた方がいいんじゃないかと思っているんです。リスクについては、インダストリーのアベレージなんかをみて、それに比べてここ弱いんじゃないかとか、そういう話ができればいいんでしょうか。。たとえばこういうリスクだと報告はちゃんとできているのか、実際の件数はとか、そういうものについては産業そのもののリスクとして横にみていくことができてもいいんじゃないかと。

MC
Tさんの投資先に対しては今は、あんまりみていない?まあサイズが小さいかもしれませんが・・・

Tさん
ええ、あんまり。確かにリスクはあると思うんです。でも今はそれよりポジティブなほうをより熱心にみていますね。る。Hさんがいうように両方見るのは難しくて。でも最低限見るべき流転、例えばIT産業ならIT産業、金融業なら金融業のテールリスクみたいなものをあげていってもいいんじゃないかと思いました。

MC
そうですね。今の社会的な問題はITの問題って小さな会社が担い始めていますよね。だかセキュリティとか個人情報流出とかに大きく揺さぶられるかもしれないので、インパクト投資という中でポジティブな面だけみていくというのはちょっと見直した方がいいかもしれませんね。

Kさん
・・あの、投資家への期待はとても高まっているかもしれませんが、みなさんおっしゃるように、少人数でやっているので、なかなかモニターが大変だということは理解して欲しいです・・・(笑)

続く