資産運用業界の仲間たちと一緒に、「インパクト投資を上場株に適用する」をテーマとして研究を始めました。スマートフォンアプリのClubhouse上で毎週様々なディスカッションを行っています。皆さまも是非ご参加ください。また本ブログではこの議論の内容をコンパクトにまとめて皆様にお送りします。
リンク:「上場株でのインパクト投資」常設クラブ(Clubhouse内)
7月21日は、お昼の 12時より Clubhouse Meeting を行う予定です。
上場株式でインパクト投資 3章 4回下
2021年6月2日
(このブログは毎週水曜日の12時からクラブハウスでオンエアしている“上場株でのインパクト投資”を綴ったものです)
MC
東京ガスは“生き残りのために必要”といいながら、あまり練れていない計画をだしたように見えるということですね。Kさんにお伺いしたいのですが、Kさんはいつも“配当については重要な約束だ”、というようなご意見だと思いますが、その東京ガスの今回提示された計画自体についてどう思いますか?また他の投資家も今年の配当が云々ではなく“長期にネガティブだ”と判断した可能性についてご意見をお聞かせいただけますか?
Kさん
東京ガスさんは環境関連で良く表彰されていて、そっちに力を入れられているのかなと思います。株主とか企業価値ではなく、そう言ったことで表彰されようとしているのかなと。一時的には配当を増やしたり、株主のこと考えていますよみたいな見せ方をしていたのですが、それより環境のほうが会社として好きなのかな・・・ちょっと残念だなと思います。もうちょっと総合的に考えて経営していけばいいのに。賞とかもらいたいのかもしれないけど、少し寂しいなと。
MC
でも東京ガスさんは、環境への投資をうちだすことによって長期的に考えているとご自身は思っているのでは。もちろんTさんが指摘したみたいにその計画は練れていないかもしれませんが・・・・。
Kさん
長期的に何を考えているかですが、私は企業業績とか、社会の変化の中で東京ガスがどうやっていくかより、とりあえず環境関係でやんなきゃならないことをやりましょうと、ちょっと焦っているようなかんじで、今までやってきたことをおじゃんにしていこうとしているようにみえ、配当を増やしていくというのもやめていくということであれば、しっかりコミュニケーションをとるべきところをやっていないのが問題だと思います。
MC
それはそうですね。東京ガスさんはでも単に二酸化炭素を減らすとかじゃなくてビジネスそのものだから難しいというのもあって、確かに焦ったのかもませんね。
Hさん
そうでうすね。長期投資家がどう判断したかは実はまだわからないと思います。感情的に反応したのはけっこうあったかなと。コミュニケーションが悪い時は短期的にはあると思います。そういう短期の株価の動きは、ぼくは全然気にしていなくて。株価ってよく間違えることがありますから。だからそれに過剰に反応せず、長期的な価値に確信があるなら、私は気にせず買っていくタイプなので。実際に環境に対する投資にどれだけお金がかかって、どんな効果がいつごろでてくるかをもっと丁寧に説明する必要があると思います。そうすればこの投資はこういうふうに企業価値をかえていくよね、ということがわかっていくと思います。投資家やらなきゃいけないことを見てこなかったということがあるとすると、投資家としても手落ちで、それはお互い反省しながらコミュニケーションしていけばいいと思うのですけど。
MC
今のところ、もうちょっと皆さんに聞いてみたいのですが、似たようなことがこれからどの会社でも起こると思うのですが、気候変更に対して大型の投資をすれば何らかの資本の割り振りをしなければならないと思いますが、そういう時、事前にどう投資家とコミュニケーションするべきか、またご自身が投資中の企業が、大型投資をすると言い出したとか、びっくりさせられることがあったとき、どう考えるかとか、ご意見をいただけないでしょうか。
Tさん
これって東京ガスさんにとっては一丁目一番地のトピックスですよね。普段から対話し続けてなきゃいけない議題だと思います。今マテリアリティをめぐる開示とか広まりつつありますし、それについては世の中の仕組みが求めている形に従って粛々と普段から対話をしていけばいい効果が発揮されるのじゃないかと思います。とは言え脱炭素はマテリアルな課題として対話するけれど、とりあえず配当は下げてもらったら困ります、じゃなくて、財務情報も含めてマテリアリティを語る事が必要で。配当を下げてもいいけどそれがどう報われるかきちんとコミュニケーションしてくださいという方向に振らないといけませんよね。
Kさん
私も似たようなことを思いますが、あまり配当のこと話すと重要提案行為になるので、それが問題だなと。重要提案行為は金融庁の規制ですが、これは変えなきゃいけないところだろうと思っていて、そうでないと資本の効率をどうするかとかしっかり話せないですから。だから東京ガスもかわいそうで、事前に配当に関して投資家の意見を聞きたいと思っても、重要情報にひっかかりあんまり話せない、これは不利なところだと思います
MC
ありがとうございます。では次にHさんにちょっと違うことを聞きたいのですが、インパクト投資といえどもオーナーがいると思います。アセットオーナーを抱えるものとして途中のキャッシュフロー、配当のことは無視できないと思うのですが、そういう資本配分とかは日ごろから心がけていることありますか?つまり、特にインパクト投資のような時、投資先の企業は大きな資本投資をする可能性もありますと、そうすると最初から投資戦略を、頻繁な配当の増減によらないように設計するものなのかとか・・・もし心がけていることがあれば
Hさん
そうですね。企業が生み出すフリーキャッシュフローの部分を投資とか、株主還元にどう使っていくかの割合は通常の会話の中でいつも出てくる話で、どう配分することによってROEをあげていくか、下げないようにするかということをいつも考えていないと、利益があがってもROEが下がっていくということが起こりえるので、日本では単年度でROEいくらみたいな企業がよくありますが、そういうことではなく、長い目でどういう配分をしていくかを常に議論していくことが必要だと思っています。
MC
そうですよね。単年度の配当性向に対する議論が多いというのはよく指摘されますよね。それからこういった投資が注目されていくなかで投資家側ももう少し投資のやり方を考えていかないといけないんでしょうか
Hさん
うーん、それぞれのスタイルがありますから、私は、単年度の影響をうけないような説明をお客さんにしていますし、だから株価がちょっと下がってもお客さんと笑っていられるというか・・・
MC
すばらしい!あと30秒あります。ご意見ある人
Tさん
そうですね、今ラージミーティングでESGがらみの質問される人いますが、正直まだ質問のクオリティーが高くないのかなと・・・。たぶん投資家側の洗練がもっともっと必要になってきて、それは繰り返しですけど、統合的な能力が必要なんじゃないかなと思います。
続く