「米国で日本のエンタメ企業が、そんなに簡単に勝てるものだろうか?」——第1回でラウンドワン(4680)にとってアメリカが成長エンジンだとお伝えしましたが、そう思われた方も多いはずです。実は、勝てるだけの構造的な理由があります。第2回では、その土台となる「ズルい」ほど有利な3つの仕組みと、これからあと何店出せるのかという「伸びしろ」を、現地視察の実感とともにお伝えします。

【注意事項】当資料は、本ホームページを閲覧される方へ、下記対象企業への投資を推奨するものではございません。投資判断は閲覧者各位の自己判断で行って頂きますようお願いいたします。対象企業は弊社による投資助言の対象となっている企業の場合があります。

① 居抜き出店|巨大な店を「安く・速く」作れる

アメリカではEC化の波で、郊外モールの百貨店など大型テナントが次々と撤退しています。ラウンドワンは、その巨大な空き区画に「居抜き」でそのまま入ります。ゼロから建物を建てる新規投資なら土地の取得や建設に莫大なお金と時間がかかりますが、居抜きなら建物はすでにあるため、初期投資は大幅に低く抑えられ、工期も短くて済みます。

しかも面白いのは力関係です。空き区画に困っているモール側にとって、集客力のあるラウンドワンはむしろ「来てほしい救世主」です。だから賃料などの条件交渉も同社に有利に運びます。借りたい側が強いのではなく、貸したい側が頭を下げるような構造にあると推測されます。

② 駐車場直結|日本では考えられない「ダイレクト入店」

ここが、日本のラウンドワンと根本的に違うところです。アメリカは徹底した車社会です。米国店は、モール外周に広がるオープンな無料駐車場から、店舗専用の入口へ直接入れる設計になっています。日本のように「モールの中を延々と歩いて店にたどり着く」のではなく、車を停めたら数歩でラウンドワンです。

つまり、買い物のついでに立ち寄る客に頼るのではなく、最初からラウンドワンを目当てに車を乗り付けるお客様を、モールの混雑や営業状況とはまったく関係なく取り込めます。広大な無料駐車場そのものが、ファミリーや若者グループが深夜でも気軽に集まれる「入口」になっているのです。

③ 長時間営業|モールが閉まっても、ラウンドワンは開いている

この駐車場直結が最大の効果を発揮するのが営業時間です。米国の多くのモール本体は、おおむね10時から20〜21時、つまり1日10〜11時間程度で閉まります。ところがラウンドワンは外から直接入れるため、モールの営業時間に合わせる必要がありません。実際、米国店はほぼ全店が朝10時から翌2時まで、1日16時間・年中無休で営業しています。多くの店舗が看板やサイトで「open late/past midnight」を堂々とうたっているほどです。モールが閉まった後の深夜帯、若者が集まるナイトタイムエコノミーを、ほぼ独占的に取り込めるわけです。

これは収益構造の面でもじわじわ効いてきます。家賃や設備リースといった固定費は、営業時間が長くても短くても同じ金額が発生します。それなら営業時間を延ばすほど、同じ固定費をより多くの売上で「薄める」ことができます。モール標準の約10〜11時間に対してラウンドワンは16時間。1日あたり5〜6時間、率にして5割以上も長く稼働できるので、1時間あたり・1坪あたりの固定費負担は大幅に軽くなります。

項目 内容
1日の営業時間 16時間(10:00〜翌2:00)・年中無休・ほぼ全店
モール標準比の稼働時間 約1.5倍超(深夜需要を独占的に取込)
入店動線 駐車場からダイレクト入店。モールに縛られない
初期投資 居抜きにより低コスト。回収が早くROIが高い
出所:営業時間はRound1 USA公式サイト(各店ページ)より。モール標準は一般的な目安です。

現地レポート:モールで見た光景

シアトルとヒューストン近郊の店舗を訪れたときのことです。まるで独立店舗のような入口ですが、実はショッピングモールの一角であり、目の前に広大な駐車場が広がっています。店舗内は車で乗り付けた若者グループやファミリーで賑わっていました。この「モールの中の店」ではなく「駐車場に面した独立した大型店」という姿は、今回回った10店舗すべてに共通する光景でした。正直、日本の店舗とはまるで別物です。この目で見て初めて、長時間営業と駐車場直結の意味が腹落ちしました。

コロナ禍以降の6年で41→59店|出店の「型」はすでに完成

この出店モデルは机上の空論ではありません。米国1号店は2010年のカリフォルニア州プエンテヒルズ店。そこから試行錯誤を重ね、コロナ禍の2021年3月期以降だけでも18店を着実に積み上げてきました。いまや店舗網はカリフォルニア・テキサスからニューヨーク、ニュージャージー、フロリダまで20州以上に広がり、直近の2026年2月にはニュージャージー州のメンローパーク店がオープンしました。用地の目利き、居抜き改装のノウハウ、開店後のオペレーション——「出店の型」はすでに完成しており、あとはこれを横展開していくフェーズに入っています。

あと何店出せるのか|出店余地は200店超

「もう出られるところには出尽くしたのでは?」と思われたかもしれませんが、むしろこれからが本番です。アメリカには地域の中核となる大型モールが約1,200あるとされています(ICSC分類:Super-Regional Mall、Regional Mallの合計)。それに対してラウンドワンの米国店舗はまだ59店に過ぎません。

しかも攻め方は1種類ではありません。地域で一番集客力のある「1番モール」には従来型のラウンドワンを、そこまでの規模ではない「2〜3番手モール」にはフードホール併設型(YUU)という別のエッジを効かせて出店できます。エンタメ単独では成立しにくい立地でも、「日本の食」という武器を足せば勝負できる——この2つのモデルを組み合わせることで、攻められるモールの数が一気に広がります。両者を合わせると、中期的に合計200店超、つまり現状の3倍以上の出店余地が視野に入ると考えられます。

そして肝心の「儲かり方」です。1店舗あたりの売上は米国が約13.6億円と、国内の約10.8億円を上回っています(2026年3月期売上高から筆者試算)。巨大な居抜き区画に入る米国店は、1店が大きく稼いでくれます。一方で初期投資は居抜きで低く抑えられている——つまり大きく稼ぐ店を、安く作れる。だから日本よりもROIが高く、投資回収が早いと想定できます。会社が米国への重点投資を続けると明言しているのは、この経済性に裏打ちされているからです。

同じ1プレイが、アメリカでは2〜4倍の値段で売れている

現地で確かめてきた「値段」の話です。米国のラウンドワンでは、クレーンゲームの料金は1ゲームあたり約0.9〜2.5ドル、日本円で約150〜400円(1ドル=160円換算)に設定されていました。大型機は約2.5ドル、ミニクレーンでも約2ドルが中心です。日本の相場は1プレイ100円ですから、同じ機械が1.5〜4倍の値段で稼いでいる計算になります。

何より驚いたのは、お客さんの様子です。米国は専用カードにチャージするプリペイド方式ですが、誰も値段を気にする素振りを見せず、躊躇なくカードをスワイプして遊び続けているのです。1店舗あたり売上が国内を上回る背景には、稼働時間の長さに加えて、この「サービスの値差」があるのだと現地で腹落ちしました。

現地レポート:DAISOの行列が教えてくれたこと

現地のDAISO(100円ショップ)を覗くと、日本で100円の商品が2.5ドル、つまり約400円で売られていました。それでも日本と同じようにレジには行列ができています。一方で、平均的なグローバルアパレルやスーパーの食品といったモノの値段は日本の1.5〜2倍程度と、差は比較的小さいのです。つまりアメリカの物価の実態は、「モノの値差は小さく、人手やきめ細かさを伴うサービスの値差は大きい」ということです。ジャパンクオリティで感動体験を提供できるモノやサービスを米国へ持っていくだけで、同じものが2〜4倍の値段で売れる——米国で稼ぐ日本企業は、改めて面白いと感じた瞬間でした。

投資家として、どこに注目すればよいか

  1. 出店ペースの持続性|会社は米国で年間10〜20店規模の拠点拡大を目指しています。四半期ごとの新店発表がこのペースに乗っているかをウォッチしていきます。
  2. 新店の立ち上がり|居抜きで初期投資が軽い分、新店が早期に黒字化しているかが、モデルの健全性を映す鏡になります。
  3. YUU併設型の初動|2〜3番手モールへの展開が成功すれば、200店超という出店余地の説得力が一気に増します。

逆に言えば、これらが崩れたときが、シナリオを見直すサインだと考えています。

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【PDF】反則級の出店モデルと、200店超の伸びしろ(第2回)をダウンロード

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出所・ご留意事項

本資料は株式会社ラウンドワンの開示資料(「2026年3月期 決算説明会資料」2026年5月13日ほか)、公式サイト、ICSC・SPJA等の第三者データ、および作成者による2026年6月末〜7月上旬の米国現地視察(シアトル・ヒューストン・ロサンゼルス・サンフランシスコのラウンドワン10店舗、競合約20店舗、Anime Expo 2026)に基づく情報提供資料です。特定の有価証券の売買を勧誘するものではありません。現地観察に基づく数値・構成比は作成者の概算・体感値を含みます。出店余地は作成者の試算であり、会社の公表計画ではありません。将来予測には不確実性が伴います。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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