あすかコーポレイトアドバイザリーのアナリストが、2026年6月末から7月上旬にかけて米国4都市を訪問し、ラウンドワン(東証プライム・4680)の店舗10店と競合約20店舗、そして世界最大のアニメイベント「Anime Expo 2026」を自らの足で回りました。全4回でお届けする現地視察レポートの第1回では、ラウンドワンという会社の全体像と、アメリカ市場が同社の成長エンジンになっている理由を整理します。
【注意事項】当資料は、本ホームページを閲覧される方へ、下記対象企業への投資を推奨するものではございません。投資判断は閲覧者各位の自己判断で行って頂きますようお願いいたします。対象企業は弊社による投資助言の対象となっている企業の場合があります。
ラウンドワンとは|「ボウリング場」ではなく「クレーンゲームで稼ぐエンタメ企業」
株式会社ラウンドワンは、ボウリング・アミューズメント(クレーンゲーム)・カラオケ・スポッチャを一つ屋根の下で楽しめる、日本発の複合エンターテインメント企業です(東証プライム市場・証券コード4680)。1980年に大阪で創業し、屋内型複合レジャー施設という独自の業態を確立してきました。
店舗網は国内99店・米国59店・中国3店の合計161店舗(2026年3月末現在)。意外に思われるかもしれませんが、収益の主役はボウリングではありません。セグメント別に見ると売上の約6割をアミューズメント(1,142億円)が占めており、その中心はクレーンゲームです。日本のアニメ・キャラクターIPを景品として取り込む運営力こそが、同社の競争力の中核をなしています。
業績はいずれも過去最高|ROE22.4%の資本効率
2026年3月期は売上収益1,895億円(前期比+7.1%)、営業利益288億円(同+9.7%)と、いずれも過去最高を更新しました。コロナ禍では一時大きな赤字に沈みましたが、そこからのV字回復を経て、いまや利益水準はコロナ前を大きく超えています。
| 指標 | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 1,895億円 | 前期比+7.1%・過去最高 |
| 営業利益 | 288億円 | 前期比+9.7%・過去最高 |
| ROE | 22.4% | 高水準の資本効率 |
| 米国店舗数 | 59店舗 | 6年で41→59店舗 |
財務体質も堅固です。調整後EBITDAは734億円に達し、実質有利子負債はネットキャッシュ基調を保っています。稼ぐ力と財務の健全性を両立させながら、成長投資を続けられる状態にあるといえます。
株主還元も手厚い
成長企業でありながら、株主還元にも積極的です。配当は2026年3月期年間18円(四半期4.5円×4回)、DOE(株主資本配当率)は6.6%に達しています。配当性向は当期利益のおおむね25%が目安です。2027年3月期の会社計画では、営業キャッシュフロー696億円のうち420億円を設備投資(その多くが米国の新店)に振り向ける方針で、「稼いだお金を、最も儲かる米国出店に再投資する」という分かりやすい資本配分になっています。
なぜ、いまアメリカなのか|売上で国内に肉薄する米国事業
答えはシンプルで、成長の主戦場がアメリカに移っているからです。2010年に米国カリフォルニアへ海外1号店を出店して以降、北米を成長の主戦場として店舗網を広げてきました。米国の店舗数はこの6年で41から59へと5割近く増えています。
売上規模で見ても、2026年3月期で米国は約800億円と、国内(約1,090億円)に肉薄しています。会社自身も「成長ドライバーは引き続き北米」と明言し、今後は米国市場で年間10〜20店舗規模の拠点拡大を目指しています。私たちは数年以内に、米国が国内を追い抜く可能性も十分にあると考えています。
もう一つ、見逃せない追い風があります。アメリカではサービスの値段が日本の2〜4倍というのが当たり前になっていることです。つまり、日本品質のサービスをそのまま持ち込むだけで、大きな「値差」を取り込めます。この物価の話は、第2回と第4回で現地の状況とともに詳しくお伝えします。
今回の米国現地視察について
このシリーズの土台になっているのは、2026年6月末から7月上旬にかけての現地視察です。行程は西海岸のシアトルから南部のヒューストン、そしてロサンゼルス、サンフランシスコへと続き、ラウンドワン10店舗と、Dave & Buster’s・Main Event・Lucky Strike・クレーンゲーム専門店など競合約20店舗を実際に歩いて比較しました。平日昼・週末夜など時間帯も変えて観察しています。さらに7月3日には、ロサンゼルスで開催された世界最大のアニメイベント「Anime Expo 2026」にも参加しました。つまりこのシリーズは、「店舗の現場」「競合の現場」「需要の現場」の3つを、同じ目で見比べた記録でもあります。
現地を歩いた第一印象
今回の視察でまず驚いたのは、日本のアニメ・キャラクター人気が2年前に視察した時よりさらに高まっていたことです。書店・紀伊國屋の米国店舗を覗くと、売場の8割がマンガとアニメグッズで占められ、周囲のショッピングセンターが静かな中でそこだけ異様な賑わいを見せていました。そしてラウンドワンの店内は、その需要を丸ごと受け止めるかのような熱気に包まれていました。「この会社の優位性は、むしろ強まっている」——それが率直な第一印象です。
本シリーズでお伝えする3つの主要メッセージ
- 反則級の出店モデルと、200店超の伸びしろ(第2回)
「居抜き×車社会×長時間営業」という米国ならではの出店モデル。大きく稼ぐ店を安く作れるためROIが高く、出店余地はまだ200店超(現状の3倍以上)残っていると考えられます。 - アニメ需要と、競合が追いつけない「堀」(第3回)
世界最速で伸びる米国アニメ需要を「リアルの場」で消費させる、唯一無二のプラットフォーマーとしての姿を現地検証します。競合20店舗を回って分かった圧倒的な差を、証拠とともにお見せします。 - 次の一手「食文化」と投資家への示唆(第4回)
YUUフードホールと高級業態「Round One Delicious」を紹介し、財務・株主還元まで含めて投資家への示唆をまとめます。
レポート全文(PDF)のダウンロード
本ページは要約版です。図表を含むレポート全文は、下記よりPDFでご覧いただけます。
【PDF】ラウンドワンという会社と、米国という成長エンジン(第1回)をダウンロード
シリーズ一覧
- 第1回:ラウンドワンという会社と、米国という成長エンジン(本ページ)
- 第2回:反則級の出店モデルと、200店超の伸びしろ
- 第3回:アニメ需要と「リアル・プラットフォーマー」の実像
- 第4回:次の一手「食文化」と、投資家への示唆
出所・ご留意事項
本資料は株式会社ラウンドワンの開示資料(「2026年3月期 決算説明会資料」2026年5月13日ほか)、公式サイト、ICSC・SPJA等の第三者データ、および作成者による2026年6月末〜7月上旬の米国現地視察(シアトル・ヒューストン・ロサンゼルス・サンフランシスコのラウンドワン10店舗、競合約20店舗、Anime Expo 2026)に基づく情報提供資料です。特定の有価証券の売買を勧誘するものではありません。現地観察に基づく数値・構成比は作成者の概算・体感値を含みます。出店余地は作成者の試算であり、会社の公表計画ではありません。将来予測には不確実性が伴います。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
投資顧問契約の概要、リスク、報酬等の費用に関する重要事項説明はこちらをご確認ください。
あすかコーポレイトアドバイザリー株式会社/金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2162号/加入協会:一般社団法人 資産運用業協会