資産運用業界の仲間たちと一緒に、「インパクト投資を上場株に適用する」をテーマとして研究を始めました。スマートフォンアプリのClubhouse上で毎週様々なディスカッションを行っています。皆さまも是非ご参加ください。また本ブログではこの議論の内容をコンパクトにまとめて皆様にお送りします。
リンク:「上場株でのインパクト投資」常設クラブ(Clubhouse内)
次回、5月5日は時間を変えて夜8時より Clubhouse Meeting を行う予定です。
上場株式でインパクト投資 2章 第二回上
2021年4月21日 12:00~12:30
(このブログは毎週水曜日の12時からクラブハウスでオンエアしている“上場株でのインパクト投資”を綴ったものです)
MC
今日はゲストがいます。人呼んで、“プライベート・エクイティからの刺客”です。
前回、まあそうはいっても確実に短期では株価は揺れて、企業が情報発信がうまくできなくて株価が割安だったりして、その間にオーナーの投資機関がくるかもしれない。つまり答えはないよねというような話をしていました。Hさん前回最後にコメントをされている間に時間が来たと思いますが、続きのコメントとかありますか?
Hさん
はい、その前に前回最後にそういう話をした背景として、上場株と、プライベートエクイティの違いをしていたのでそこを加えて話したいと思います。
上場株の取引は、プロ野球の選手のトレードみたいなものだと思うのです。良い“買い物”だったかどうかはその後数年間の選手の活躍で決まるわけで、既に年俸とか前の球団のものがわかっているので、べらぼうな数字はつきません。非上場の投資はドラフトのようなもので、まだプロ野球で活躍していないわけですから、活躍できるかどうかが価値判断となり、活躍できればいいけれどできなかったら投資価値がゼロになってしまうということだと思います。これをインパクト投資に置き換えると、その企業が既に上場していて社会的に認められている場合であれば、インパクトを起こすと考える投資の判断が正しければ必ずプラスになると思います。逆に既に活動しているので、そこで起きるインパクトが投資家の期待を上回る必要があるということかなと思います。そして前回最後に話題になった長期にはポジティブだけど短期にはぶれてネガティブになるかもということについては、プロ野球選手で例えればひじを壊しているピッチャーみたいなもので、治療で休めば一年間棒に振るかもしれないけれど、そのまま投げていれば年々成績は落ちていくかもしれない。そういう場合今年15勝していて、手術をして、リハビリとしたらまた同じように投げられるだろう、手術をするかどうか、どちらが価値が高いですかということだと思うのです。正しいインパクトがあるとわかっているとき、それをしないのは手術をしないで投げさせていることと同じです。
野球選手の場合は選手寿命がありますが、企業価値の場合はゴーイングコンサーンベースで考えれば、永続的に存在するということで考えると、通常は将来につながる判断がマイナスに寄与することはない、とぼくは思っています。
MC
ありがとうございます。つまりまあ、前回最後のほうで話していましたけれど、将来の企業価値をみて株価が適正なところで動いていれば、アセットオーナーの投資期間が短かったとしても、そこでイグジットして出ていくわけですから、問題はないでしょうということなのかなと思っています。では今日のトピックに行きましょう。
ゲスト
こんにちは。私はキャリアが証券アナリストからはじまり、投資銀行、バイアウトファンド、そのあとベンチャーキャピタルをやって現在にいたります。インパクト投資を考えると奥深いなあと思います。
MC
ありがとうございます。では今日、この3名のアクティブマネージャーのみなさんに質問をしてもらいます。インパクト投資で投資している最中に・・・あなたならどうする?
ゲスト
今日の話をもらってから色々考えていたんですけど、最近雑誌をみて思いつきました。
ポジティブインパクトを社会と企業価値に与えるということでぼやっと理解しているのですが、それでもそれでもなかなか悩ましいことが起きています。ひとつはウイグル問題。ファーストリテイリング、良品計画、H&Mの問題があります。もうひとつ先月ジョージア州で投票制限法というのが可決しました。身元が不明確な人は投票できないというものです。ジョージア州は保守党が強いのですが、マーチンルーサーキング牧師の公民権運動の州です。一方でコカ・コーラとかデルタとかが入っており、それらのCEOがこういう法律はよくないという発言をしています。会社のCEOがそういうことを発言していいのかと。柳井さんは逆にウイグルで関与しない、中立を保つのだといって批判されました。あとマルチステークホルダーを貫くのだといったダノンのCEOがアクティビストに解任されたり。というようなことが起きていると思うのですが2つあって、社会に対しいいことを求めて居るとき政治的スタンスを企業が採るのはどう考えるのか、もうひとつはソーシャルインパクトがポジティブインパクトだということとプロフィットって状況によってトレードオフの関係になる、そういう時投資家はどういうスタンスをとるべきなのか?どういう風にスタンスを、どういう風に原則論を打ち耐えて対話していくのか・・・これが質問です
MC
では今の質問、1つ目の企業はどう対応すべきか、2つめ投資家はどう考えるべきか? インパクト投資を考えるものとして、現在のウイグルのようなことに対しCEOが発言をすれば、あるいはウイグルでの生産をやめようというと短期的にはインパクトがあるでしょう。これらをどう考えるかについて意見をお聞きしていきたいと思います。ではTさん
Tさん
うーん。難しいですね。うーん。とても難しいんですけど、投資をやる立場の人間として投資先の企業のCEOに何を言ってもらいたいかというという観点で答えるべきなんだと思いますね・・・・たとえばダノンの社長が個人としてどういう哲学を持っていらっしゃるかは別として、企業の経営者としての発言は企業のサービス・プロダクト、社員に関するものであるべきだと思うんです・・・例えば反対して、不買者がふえてしまうか、賛同して買ってくれる人がふえてくれる・・・とか。そこを総合して判断して欲しい・・答えになってないですね。もう少し考えさせてください
つづく