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あすかコーポレイトアドバイザリー株式会社
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ACAコラム

  • 2019-10-152019-11-13
  • by 田中 喜博

京都大学様との共同セミナーを終えて

10月7日(月曜日)第六回となる、京都大学経営管理大学院様とあすかアセットマネジメント、弊社の共同セミナー『政策主導で規制が強化される企業ガバナンス』~企業と投資家はどう対応するべきか?~を無事終えることが出来ました。講師・パネリスト各位及びご参加頂いた皆様に心より感謝申し上げます。

今年は有価証券報告書の開示基準が強化される等コーポレートガバナンスを巡る環境整備にさらに一段の進化が見られたように感じています。ガバナンスを支えるための「器(うつわ)」が着々と準備される中で、それをより実効性あるものにするために当事者は何を考えるべきなのか?という点について、当日は現役の独立社外取締役、大手機関投資家のエンゲージメント担当者、そして弊社のメンバーという事なった立場の方々に、様々な議論をして頂く事が出来ました。参加者各位も勇気づけられたのではないでしょうか?

さて、その中で私が一つ強い印象を受けたのは、上出のエンゲージメントを担当されるパネリストの方が言及しておられた「議決権行使において株主が投じる票は企業の将来に対する影響を有している事を忘れてはならない」とのメッセージでした。例えば昨今増えつつある、海外のいわゆるアクティビスト型株主による提出議案についても。勿論株主提案であることを前提とした可否の判断はしないが、定款変更等については特に最新の注意を払っておられるとの事。何故ならば定款変更は企業としてのビジネスそのものに変化を与え、ひいては企業の将来に変化を与える可能性があるにも関わらずその議案に賛同した自分たちを含む株主が将来時点において株主である保証がないためだから。との事でした。

会社は誰のものか?とは永遠の問いであり、今回のコラムのみで語るにはいささか大きすぎるテーマですが、上出の「将来への責任」は、現在進みつつあるSDGs等のテーマとも相通じるものがあります。本件を巡っては所謂海外アクティビストによる株主提案に対する賛成票の低さを、日本市場の後進性の証左として語る論調も見られます。それぞれの立場や主張は異なって当然ですが、同パネリストの方のメッセージと同様に、私達は「その提案は合理的に考えて企業の将来キャッシュフロー≒現在の企業価値を強化するものか否か?」という視点で個別に判断するよう心がけています。逆に言うならば、企業の現時点における価値を取り合うのではなく、他の株主も喜んで同意したいと思えるような全体最適解を提案できる能力が株主にも求められるのではないかと感じています。精進致します。

  • 2019-10-092019-11-06
  • by 濱田 功

ROICから企業価値へ

前回、将来へ向かうキャッシュフロー流列こそが本質であり、B/SとP/Lはその断面と断面の変化率(微分)に過ぎないと申し上げました。
では、その断面の数字の比である(静的な)ROICと、将来のキャッシュフロー集合体である(動的な)企業価値とはどのように結びついているのでしょうか。フリーキャッシュフローの永久流列に対して、無限等比級数の和の公式から、以下の式が得られます。

この時にROICが将来に渡って変化しないという仮定、言い換えるなら限界ROICが現在のROICに等しいという仮定を置く場合、次のような式変形によって、純投資(投資額から減価償却費を控除し運転資本増加を足したもの)をROICで表現できるため、現在のROICを使う事によって、将来の事業価値・企業価値を計算することができるのです。

このDCF計算の式をバリュードライバー式と名付けられていますが、この式型と導出プロセスから、いくつかの示唆があります。
まず、WACC>ROICであれば、投下資本以下の事業価値しか生まれず、価値破壊的であり、その時、成長率が高いほど、価値破壊の程度が増します。
また、ROIC一定の仮定のもとでは、税引き後利益に対する純投資の比率(投資比率)が上昇するほど、成長率が高まる事になります。即ち、高い成長のためには、投資をしなければならないという事が組み込まれています。

DCF事業価値の計算では、各年のP/L・B/Sの推定を行った上で、キャッシュフローを計算する方法が一般的だと思います。それに比べて、このROICから事業価値を計算する方法はどのような得失があるのでしょうか。
長所としては、必要とするパラメータの数が少なく、議論の紛れが無いことです。各年のP/Lを今後5年分作ろうとすると、それぞれの要素に推定が入ってきます。売上の伸び率、原価、今後の人件費など、推定し仮定を置かなければならない多くのパラメータをさらに議論にかけるとなると、本質の企業価値の議論になる前に、パラメータの決め方で紛糾することになりかねません。ROICからの計算方法は、ROICは当該年度の「実額」ですから、議論の紛れようも無く、そのほかに必要なものは、WACCと永久成長率だけです。
短所は、計算の前提であった、ROICが変化しないということによる制約、適用範囲の限定です。また、WACC-gの収束条件も制約になります。例えば、短い時間の間に、赤字から黒字に変わり、成長率も著しく高いようなベンチャー企業に対してはあまり良い方法ではないでしょう。
これらの長所と短所(適用限界)を知った上で使うのであれば、良い方法であり、本質をクリアに見せる手法だと考えています。

前回と合わせて見てきたROIC経営の本質は、WACCを超える高いROICで再投資により成長する企業は、企業価値を高める事ができるというものでした。ROIC経営だからと言って、現在のB/S、P/Lに集中して、投資が萎縮してしまうのであれば、企業価値を高めるという本質的な目的を見失っています。望まれるのは、これから将来への投資を増加させ、その投資プロジェクトによって追加されるROIC(限界ROIC)が過去から現在までの投資の蓄積である現在のROICを上回っていくように、高資本効率のプロジェクトを立ち上げていくことです。それにより企業全体の平均ROICが引き上げられ、投下資本が増大し企業価値が増大していくのです。ROICは、その変化のプロセスをモニタリングし課題をあぶり出すための手法なのです。

  • 2019-10-082019-11-05
  • by 濱田 功

価値 is King

ダイヤモンド社から出版されているマッキンゼー著による「企業価値評価-バリュエーションの理論と実践」はファイナンスのバイブル的な教科書で日本語版でも既に6版を数えるほどです。上下巻合わせて1,000ページ、お値段も8,000円を超すので、手に入れるにも読み通すにも気合が必要です。
この本の中では、ROICを使ったDCF法による企業価値評価の手法を詳しく解説しています。
我々の仕事の中では、スチュワードシップ・コード導入の前後で「ROEの投資家にとっての意味はなにか」「なぜ投資家はROEを重視するのか」という疑問が、投資先企業側から寄せられました。投資家の立場からの資本効率重視の議論を複数の企業取締役会で話させていただきました。
ここ数年の変化は、企業側から「ROICの持つ意味は何か」「なぜ企業はROICを重視すべきなのか」という問を受けるようになったことです。つまり、ROEのB/S逆側の指標である企業側から見た投資の効率性指標「ROIC」向上についての問題意識の高まりが背景にあるようです。

ROICは上記書籍の中で、DCF法企業価値への転換が説明されているのですが、そのロジックがあまり浸透していると思えず、どういう場合に適用可能であるのかという前提条件がしばしば忘れられているように思います。そして、「ROIC経営」という時には、「ROICをいかに高めるか」ではなく、企業価値の増大こそが本質なのです。ブログ2回に渡って、やや理屈っぽいですが、解説したいと思います。

まず、企業の全ての行為は、投資して回収するというキャッシュフロー流列マイナスからプラスへの時間軸上の流れになっています。そして資本コストを割引率として将来価値を現在価値に引き戻した時、そこに立ち現れる「現在価値の総和」がプラスであれば、「価値が創造された」と解釈され、マイナスであれば、「価値が毀損された」と解釈されます。ここまでは、ファイナンスの基礎の基礎のようであるのですが、企業がこの投資回収のS字を描くキャッシュフロー流列の集合体であるという事を、企業管理者は忘却しがちであると見受けられます。

つまり、企業価値増大を指向する企業というのは、このS字を描くキャッシュフロー流列によって回収された価値を更に次のより大きな投資に投じ、より大きな回収を行うという、投資回収の運動を拡大させていくものなのです。そして、B/Sはこの複数のS字の塊をある時間断面で切った断面の絵であり、さらにその断面の変化をある一定時間(年度や四半期)で記録したもの(時間微分)がP/Lなのです。

「企業価値を高める」とは、このS字集合体の投資回収の運動を、個々のS字の価値創造を大きくすると共に、より大きなS字を描くか、S字の個数を増やしていくかによって拡大していくという事に他なりません。断面や微分値である財務諸表はその計測手段に過ぎず、価値増大こそが、企業活動・企業意思決定の本質なのです。

ところで、この時間軸に沿ってという考え方は、人間だけに固有の考え方だと思われます。X軸Y軸などの空間表現と時間を等質のものだと表現し、「未来がやってくる」という表現に違和感が無いのは、この時間の「空間化」がほとんどの人にとって共通に認識できる感覚だからです。将来の成果のために、今、辛いトレーニングするとか、贅沢を我慢して、教育に投資するとか、全て大きな回収のために投資をするという行為です。これは時間の空間把握と事物の因果関係を認識できるからこそ可能なのであり、それは人間だけに許されている人間を特徴づける行為なのです。

  • 2019-08-292019-09-03
  • by 金岡 将之

書を捨てよ

「書を捨てよ、町へ出よう」という寺山修司さんの評論集があり、私はこの言葉が好きで、旅に出ることは投資においてとても重要な活動であると考えています。

投資において非常に大切な事の一つは「本来の企業価値と市場がつけた価値とのギャップを見つける事」です。
ちなみに我々はこのギャップを「価値創造ドライバー」と称しているのですが、所謂合理的市場仮説なるものが主張するようにこのような「価値創造ドライバー」を見つけることは容易な事ではないのです。そして、このギャップを見つけるヒントとなるのが「常識を疑う」事であり、「旅に出ること」はこのための重要な活動の1つであると考えています。

つい先日も、あるBtoCサービス企業様への提案を行うために北米へのリサーチトリップに出かけました。
リサーチの主眼となるのは当該企業様のサービスが展開可能な都市・商業地域についての仮説を作る事で今回は10日間掛けて米国・カナダの都市を周り、数多くのモールやダウンダウンを訪ね、取材を行いました。総計でレンタカー800マイル(約1,500キロ)、歩いた距離100キロ程度と中々ハードな視察になりましたが、不思議と疲れはなく学びが多い楽しい旅でした。

従前に入念なデスクトップリサーチなど事前調査や仮説を創っており、いくつかの都市や商業施設についてのリサーチ結果は事前の調査と合致するもので喜んでいたのですが、ある街については事前の予想を覆す結果を得る事となりました。
それはカナダのトロントでした。
トロントは極めてコンパクトな街で事前のデスクトップリサーチでは商圏人口の集積度において大きな魅力を感じられなかったのですが、お住まいの方や訪問された方なら当然ご存知のように、同市は中心部に世界一とも言われる巨大な地下街を有する街だったのです。
新宿から渋谷にかけての地域に匹敵する広大な地下街とそこに蓄積される商業インフラの存在を訪問により初めて認識しました。ちなみにこの訪問には、当該企業の在米国・海外御担当の方も同行されたのですが彼も全く認知していなかったとの事でした。

もちろんこういったアドホックな情報が経営に大きな影響を与えるとは思いません。
しかし、この偶然が無ければ同社は将来の潜在的な展開余地を有する北米の一都市を見落としていたかもしれないのです。文献やインターネットなどでの基礎リサーチは大前提として、その常識をうのみにしてしまってはいけないという良い事例でした。

このように、自ら仮説を立て、足を使ってそれを検証する事は、非効率的にみえるかもしれませんが、情報窓が広がり事前に想定していない貴重な情報や経験が生まれ、そのパーツの掛け算で結果的に魅力的な「価値創造ドライバー」を生み出せるのではないかと感じています。

  • 2019-06-112019-06-11
  • by 田中 喜博

企業開示とTSR(Total Share…

政府がリーダーシップを取って進めるコーポレートガバナンス改革が着々と進行しています。直近では今年1月に公布・施行された「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」を通じて有価証券報告書における開示をより立体的に経営戦略と結び付けて行く方針が決まっています。これらの詳細については、多くの分析やまとめがある事から皆さんも目にしておられると思いますが。ここでは同内閣府令の中で開示が求められている「株主総利回り」、所謂TSR(Total Shareholder Return)について、私達が取組むエンゲージメント・バリューアップの現場からの見方をまとめてみたいと思います。

TSRとは、簡略化して述べれば、一定期間における株価の変動に同期間の配当を加えた、株主としての総合的なリターンを意味します。一般的には株式市場全体の動きにも左右されてしまう株価のみを軸とした評価に対して、企業側の自律的な行動である配当を加味する事で、企業側にとっても株主にとってもよりフェアな評価であると考えられているようです。開示のルールが変わる中、私達の普段の対話においても、関心を持たれる経営者の方が増えておられるように感じます。ガバナンス改革が進みつつある事の証左であり、日本の株式市場にとっても光明であると言えるのではないでしょうか? このような中、私達は経営者の皆様に「TSRを見る上では二つの事に気を付けて頂きたい」とお話ししています。

まず一つ、「過去を見る上では、結果としてのTSRだけでなく、その構成要素をよく吟味し、投資家と対話をして頂きたい」という事です。

平素私達は関与させて頂く企業様に、企業価値を高める努力をしてくださいとお願いし、そのための施策について議論をさせて頂いています。企業価値は理論的に算出できますが、これは市場で取引されている株価と一致するとは限りません。しかし長期的に見れば、株価は企業価値に収斂するはずです。よって株価はやはり企業にとっての通信簿であり体温計であると考えてよいのではないでしょうか。但し、この通信簿である株価と配当(TSR)を市場インデクスとの比較、同業他社との比較だけで語ってしまうと、総合点で優劣をつけるだけの共通テストと同様の弊害を生み出すリスクがあります。TSRは①キャピタルゲイン=利益成長(売上の変化×マージンの変化)×市場マルチプルの変化 と ②インカムゲイン=配当額+自社株買い(これは実は利益成長に入れるべきなのですが今は概念として②に入れています)に分解されます。私達は企業様との対話の中で、絶対的/相対的なTSRの違いが、どこから生まれてきているのかをお話しするように心がけています。TSRを要素分解する事で、企業経営上やり切れた事、やりきれなかった事、その代わりに努力した事、等が見えてきます。売り上げも利益もきちんと伸びているのにマルチプルが伸びていなければひょっとすると市場とのコミュニケーションが足りないのかもしれません。また、同業他社との比較で、マージンだけが劣後しているのならば、同社のオペレーションに何か問題があるのかもしれません。このように、TSRを要素分解する事で株価を軸に経営について事業家と投資家が意見を交わすことが可能になります。逆にTSRその物の比較、乃至は①・②の数字その物の比較であれば「株価が上がらないんだからせめて配当を出してほしい」という交わらない議論で終わってしまう可能性もあります。

二つ目は、「未来を語るにあたっては、上記の構成要素をさらに掘り下げて、経営戦略と併せて語って頂きたい」ということです。

TSRを軸にした議論にリスクがあるとすれば、「株主へのリターンを上げる事ができればどのような策をとってもいい」という議論に陥る要素を含んでいる事であると思います。例えば①の利益成長は、無理なコストカットによって達成する事も可能ですし、市場マルチプルは根拠の無い強気な利益予想で達成できるかもしれません。また、インカムゲインについても本来行うべき投資を犠牲にすれば従来以上の結果を残せる事になります。もちろんこれらの非合理的な経営戦略は長期には企業価値を棄損し、株価にも反映されるでしょうが比較的短期のTSRで見た場合は効果を生む戦術となり得ます。私達がお願いしたいのは、投資~回収~再投資という株式会社のサイクルの中で、EVAを生み続けられる質の高い経営をやって頂きたいという事です。バランスシートも含めた経営計画の結果として①・②それぞれのパラメーターの改善が語られるならばそれは非常に説得力がありますし長期に亘って投資を行いたいと思える対象となり得るのではないでしょうか?換言すれば短期のTSRにとらわれることなく、長期的な株主価値創出の観点からTSRを使って頂きたいという事です。

進みつつある開示の改善に対して、投資家として大いに期待すると共に、企業様にとっては労力の増加が見込まれる変化である事も良く理解できます。せっかくの試みを双方の取組みにより有効に使えるようにしたいものです。私達も、普段のエンゲージメント活動を通じて、そのお手伝いが出来ればと考えています。

  • 2018-12-272019-11-13
  • by 田中 喜博

企業開示と経営戦略

平素から大変お世話になっている株式会社野村総合研究所 上級研究員の三井様からご縁を頂き、ある会計専門誌様の対談形式の取材に参加させて頂きました。内容は企業開示に関する旬な話題であり、事業法人様、投資家の両方にとって興味深いものであると思います。発行が決まりましたら詳細改めてお知らせいたします。

その取材に際して、検討材料として頂いた様々な海外企業の開示例が非常に面白かったことから、こちらでご紹介をさせて頂ければと思います。特に感銘深かったのは、英国マークスアンドスペンサー(M&S)社の開示資料でした。ご存知かとは思いますが、英国が誇る小売業者で世界に8万人を超える従業員を擁するグローバル企業です。

職業柄、日本の企業様が発行される有価証券報告書は良く読ませて頂くのですが、貴重なデータ集として読み進む事はあっても、正直面白いと思って没頭してしまう事はありません。また逆に、近時皆さん力を入れておられる統合報告書は、読み物としてはとても面白いのですが、投資に携わるものとしては非財務情報が中心の同報告書は、何か物足りないように感じてしまう事も事実です。

これに対して、M&S社の場合、英国の法定開示ルールの違いもあるのでしょうが、現状の経営環境分析やこれを元にしたStrategic Reportなる経営戦略が明確に示され、これを実現するための全社でのKPIがしっかり示されている事。また取締役会の経営課題に対する対応とその一年間の振り返りや達成状況、次年度への課題等が提示されており、読み物としてとても読み応えのあるものになっています。

またさらに、重要なのは監査委員会のレポートや独立監査人のレポートもこのStrategic Reportとの一貫性が常に意識されており、独立・中立性を大前提としながらも企業側の等身大の姿を読み手に積極的に伝えようとする意志が感じられる事です。

私達は、財務分析や企業価値向上仮説立案の過程においては、入手可能なありとあらゆる情報を分析しようと心がけています。そのためには、法定開示資料である有価証券報告書を始め、統合報告書や企業様が自主的に準備される様々な開示資料を読み込み、その上で企業様にお願いし、ご面談可能な様々な方々とも面談を行わせて頂きます。その作業は大変ですが、とても意義があるものだと理解しています。

しかし、翻ってこのM&S社のような開示資料が一つあるとすれば、上記のプロセスの少なからぬ部分を、すべての投資家が享受できるようになるのではないかと思います。法定資料として敢えて色をつけない正確な資料として利用されてきた有価証券報告書ですが、いよいよ2021年3月期より「監査上の主要な検討事項(KAM)」の適用も始まるようです。取組まれる企業様、監査法人様にとっては大変なことでしょうが、これがM&S社のようにより良いコミュニケーションツールとしての法定開示資料が作られるための一歩となられることを期待しております。

海外企業の開示の好例としてのM&S社のアニュアルレポート、是非ご一読をお奨めします。

御参考:M&S社開示資料 
https://corporate.marksandspencer.com/ 
(こちらから”Annual Report”で検索してみて下さい)

  • 2018-11-012019-11-13
  • by 田中 喜博

ESGセミナーを終えて

10月9日(火曜日)第五回となる、京都大学経営管理大学院様とあすかアセットマネジメント、弊社の共同セミナーを無事終えることが出来ました。

『ESG 投資と企業経営』~表面的な活動で終わらせないために今何が必要なのか?~
とのタイトルの下ご参加頂いた講師・パネリスト各位、及びご参加頂いた皆様に心より感謝申し上げます。

私達は、あすかバリューアップ戦略と言う独自の企業価値向上を目的としたエンゲージメントに取組んでおり、ESG的視点との少なからぬ重複は感じていますが、あくまでも異なる取り組みを行っていると理解しています。

翻って、企業様のESGに対する取組みに関しても、今や合言葉のように経営への取り組が急がれている現況が、果たして本当に正しいのだろうか?との思いも持っていました。

今回のご講演やパネルディスカッションで感じられたのは、企業規模や業種によってESGへの取り組みは異なる事が当然であり、それはむしろ企業として実現したい自社の将来と明確なリンクを持っている事が必要であるとのメッセージでした。特に平素私たちがご一緒させて頂いている中堅企業様・成長企業様であれば、自社の成長戦略との明確なリンクがあってしかるべきではないかとのコメントは非常に印象深かったです。

サブタイトルである「表面的な活動で終わらせないために今何が必要なのか?」ですが、やはり短期的に見たESGに経営が引きずられるのでなく、経営として目指す「長期的に見てありたい自社の将来」が、まった無しの社会的要請であるESGとどう共生していけるのか?を考えることが必要なのではないか?また、私達は長期視点を有する投資家として、その見極めを行える目と、外部からのアドバイスができるような知見を蓄えなければと感じました。

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