ACAコラム

PBR問題を読み解く(1)PBRの分解に…

最近セミナーを行った後、各企業のIR担当の方々と個別に面談する機会がありました。そこで気づいたのは、皆さんが疑問に感じているのは、DCF法やWACCといった定義の話ではないということです。そういった知識はすでに十分お持ちです。むしろ、コーポレートファイナンスの根底にある「考え方の原理」が腑に落ちていないために、情報の断片はたくさん持っているのに、それらがつながらず、問題を必要以上に複雑に捉えてしまっているように感じました。

本連載では、そうした「原理の部分」を丁寧に解きほぐしていきたいと思います。

なお、私自身の見解を先にお伝えしておくと、「PBRが1を超えているかどうか」はそれほど本質的な問題ではないと考えています。その理由は回を重ねて説明していきますが、まずは多くの上場企業が頭を悩ませているこの問題の「よく使われる説明が見落としている点」から始めましょう。

PBR = ROE × PER という分解式

第1回として取り上げるのは、以下の分解式です。

これは、PBRの定義式の分子・分母にEPSを掛けることで変形したものです。使うEPSを統一する(今期予想値か直近実績値か)限り、この等号は常に成立します。数学的な恒等式です。

よくある説明が見落としている点

この分解式を使って、次のような説明をしている場面をよく見かけます。

『当社は今、PBRが1を割っていますが、ROEが8%なのに対してPERが12倍という状況です。今後ROEを9%に上昇させれば、PBRが1を越えると考えています。』

一見すると筋が通っているように聞こえます。しかし、見落とされがちな重要な問題があります。

それは、ROEとPERを互いに独立した「つまみ」として扱っている点です。まるで、片方を動かしても、もう片方はそのままでいてくれるかのような前提に立っています。

なぜ「独立した定数」として扱えないのか

ROEとPERはどのように決まるか、改めて整理してみましょう。

ROEは、会社が行動することで変化します。売上を伸ばして利益を増やす、研究開発費を削減してコストを下げる、自社株買いで分母を縮小する――いずれもROEを動かす手段です。

PERは、「株価 ÷ EPS」です。そして株価を決めるのは会社ではなく、市場、すなわち株を売買する投資家たちです。

投資家は今期の利益だけを見ているわけではありません。「この会社は将来どのくらい稼げるか」「どのくらいリスクがあるか」という期待と評価を総合して株価を形成します。つまり株価は、将来にわたるフリーキャッシュフロー(FCF)の予測とそのリスクに基づいています。

ROEを変化させるために会社がとった行動は、その会社の将来FCFやリスクに対する投資家の見方を変える可能性があります。 つまり、ROEを動かせばPERも連動して動きうるのです。

ROEに影響を与える要因はPERにも影響し得る

PBR分解

上図のように、ROEとPERはそれぞれ独立して動くのではなく、企業の行動や市場環境という「共通の要因」によって同時に影響を受けます。これが、2つを独立した変数として扱えない理由です。

ROEを上げればPBRが上がる」は妥当な説明か?

先ほどの説明に戻りましょう。「ROEを8%から9%に上げれば、PBRが1を越せる」という主張は、ROEが変わってもPER12倍のまま変わらないという前提に立っています。

しかし、その前提を単純に受け入れて良いでしょうか?

たとえば、会社がROEを改善したとき、投資家が「この会社はより稼げる会社になった」と評価すれば、株価が上がりPERも上昇します。逆に、研究開発費を削ってROEを上げたとすれば、「一時的な改善に過ぎない。将来的にはシェアを失うかもしれない」と判断されて、PERがほとんど動かない、あるいは低下することすらあり得ます。

いずれにせよ、ROEが変わればPERも連動して変わりうるのです。

分解式は「現状分析」の道具であって「将来説明」の道具ではない

PBR=ROE×PERという式は、数学的には常に正しい恒等式です。現時点のスナップショットを整理する分析ツールとしては有効です。

しかし、この式を使って将来の動向を語るときには注意が必要です。右辺の2つの数字は、互いに独立した「つまみ」ではありません。片方を動かせば、もう片方も連動して変わる可能性があります。

もし今後の施策としてROE向上を語るなら、「その施策がPERに悪影響を与えないこと」を合わせて説明する必要があります。また、成長投資のような施策は短期的なコスト増を伴うことが多いため、「ROEを落とさずに成長も実現できること」の説明も求められます。

単純な2項分解式で将来を語るのであれば、将来取りうる施策とその影響について丁寧な説明が必要なのです。

「令和コーポレートファイナンス3大トピッ…

10月に引き続き第三回目のコーポレイトファイナンス勉強会を11月27日(水)に開催いたしました。会場として引き続きあおぞら銀行様のホールをお借りし、今回は「ROIC経営再考」をテーマに約40名の参加者各位と同問題について議論しました。当日の様子は、あおぞら銀行様の開示にも詳細にまとめて頂いております。

エンゲージメント投資先を招待し「ROIC経営再考」の勉強会を開催(出典:あおぞら銀行様)

さて今回。前半は第一回・二回の振り返りから始め、資本コストやPBR問題に関する理論的な背景や誤解について確認しました。その後本題であるROIC経営について、その意味する事、経営実装に際して留意して頂きたいこと。また陥りがちな誤解などについて解説を行いました。

具体的には、ROIC経営の導入にあたっては、FCFの増加・それに伴う企業価値の増加を中核に据えるということです。ROE向上のような「率の経営」の手段とするのは誤っているということを明確にお伝えしました。また、前二回までに一貫してお伝えしてきた資本コストの考え方から、全社平均のWACCとROICとの比較は誤った結論を導出する危険性があるので避けるべきとの考えを説明いたしました。あくまでも、事業毎にリスクが異なりそのリスクに対応する資本コストとの対比でなければならないということです。 そして、過去からの結果であるROICと将来得られるFCF流列から構成される事業価値とを結びつけるROICバリュードライバー式もまた一つのモデルであること、配当割引モデルや残余利益モデルを現実と思ってはいけないのと同様に、ROICとWACCとの対比もモデルの前提を理解した上で経営に適用していくこと、特に、将来獲得されるFCFが増加すると考えるならば、短期的にROICが減少するとしても投資をしなければならないことを説明しました。ROICを高めるだけではだめで、成長のための投資を行い、投下資本を増大させていく、企業価値を高める経営を中核に据えた企業改革を目指さなければならないというのが、お伝えしたかったメッセージです。

後半は前半の理解に基づき、TOPIXに採用されている上場企業を対象に、投下資本やROIC、成長性といったパラメーターに着目し、企業価値(ここでは株式時価総額)との関係性を過去約10年のデータを分析し検証いたしました。結果、長期で見ると投下資本、ROIC、成長性のいずれをも高めることができた企業群が最も企業価値の上昇幅が最も大きく、反面、いずれもが低下している企業群は企業価値の低下幅が最も大きい結果となりました。これらは、前半の理論編で企業価値計算のモデルとして挙げたバリュードライバー式で導かれる示唆と同様の状況となっています。加えて、ROICを経営指標として採用している企業は、特にROICが低位の企業群で、非採用企業に比べ企業価値の上昇幅が大きい傾向が見られました。これらは、ROICが低い場合、ROICの導入自体が企業評価に何かしらプラスの影響を与えている可能性を示唆しています。今回、講義の内容としては、市場全体の話をさせていただきましたが、参加いただいた皆様の感想等を伺うと、それぞれ自社の状況に照らし合わせてROICとどのように向き合っていくべきか、考えを巡らせていただけたようでした。

勉強会後は、恒例通り飲物を手に参加者各位での交流を行って頂きました。三回目という事でお顔見知りになられた方も増え、また時間を作り関東圏以外からも駆けつけて頂いた参加者もおられ、和気あいあいとした良い会になりました、日頃上場企業の経営・IRの第一線で働かれる参加者各位の横の繋がりに資する事が出来ればと願っております。次回は年明け2025年1月に特別会としてROIC経営に実際取り組まれ、大きな成果を上げておられる企業の経営者様をお招きして、少し大きな会を予定しております。また本勉強会における考察については別途本ウェブサイトで共有させて頂ければと思います。

「令和のコーポレートファイナンス3大トピ…

8月に引き続き上記の題材を元に第二回目の勉強会を開催いたしました。前回と同じくあおぞら銀行様のホールをお借りし、今回は「PBR問題の本質」をテーマに約40名の参加者各位と同問題について議論しました。

さて今回。前半は同問題に関する理論的な解釈とありがちな誤解について説明を行わせて頂きました。PBR1問題について考え方や理論的な背景、特に良く引用される配当割引モデル・残余利益モデルの導出プロセスやその前提条件などを提示して、その限界や制約について解説を行いました

後半は前半の理解に基づき、東証の開示要請が始まってからの約二年間のデータを基に、PBR1倍問題を実際に解決出来た企業群に何が起こっていたのかを分析しました。

全体像として、TOPIX採用企業のPBRの状況を見てみると、22年9月末時点でPBR1倍以下であった企業の方が、PBR1倍を超えていた企業と比べて、PBRが改善している傾向が見えました。一方で、PBR1倍以下であった企業が1倍を超えられた企業は204社と多いとは言えない結果となりました。これらは、東証の要請等もあり、PBR1倍以下の企業に対する市場の評価や企業自身の取り組みに変化が見られた一方で、1倍を超えるということについては、企業の本質的な取り組みや置かれる環境の大きな変化や必要であるという点を示唆しているように考えます。

加えて、PBR1倍以下から1倍を超えた企業にフォーカスを当てて、アクティビストの投資の有無や、ROEやPERの観点からのPBR改善の要因分析を行いました。これらを通じて、前半の理論編との橋渡しをしながら、理論に適合している点、相違している点等、お話をさせて頂きました。

勉強会後は飲物を手に参加者各位で交流を行って頂きました。日頃上場企業の経営・IRの第一線で働かれる参加者各位の横の繋がりに資する事が出来ればと願っております。次回は10月に開催を予定しております。また本勉強会における考察については別途本ウェブサイトで共有させて頂ければと思います。

コーポレートファイナンス勉強会を開催中で…

ご無沙汰しております。糸川です。
表題の件、「令和のコーポレートファイナンス3大トピックの本質を考える」と題し、あおぞら銀行様と共催で全4回の勉強会を企画しており、8月21日(水)に第1回を開催いたしました。この様子は以下のあおぞら銀行様のプレスリリースに詳細にまとめて頂いております。

あおぞら銀行プレスリリースリンク

(出典:あおぞら銀行、デジタルPRプラットフォーム)

『令和のコーポレートファイナンス3大トピック』というのは、少々大それたテーマ設定ではあると思いますが、資本コスト、PBR問題、ROIC経営など、いずれの企業にも関連し得る問題について理論的な深堀りを行い、本質的にどのようにそれぞれを捉えるべきか考察し、ディスカッションを行う場を設けられればと考えております。

第一回の講義には、我々やあおぞら銀行様のご投資先のCFOやIR・経営企画ご担当者様等を中心にお集まりいただきました。ご参加の皆様からは「このようなレベル感の講義はあまりないのでとても興味深かった」、「若干内容が難しかった」等のご意見を多くいただき、若干理論的議論が多くなった感もありましたが、実務でご多忙の皆様にとって一歩引いて課題の本質を考える良い機会になっていれば大変うれしく思います。

また、勉強会後には、横のつながりを作っていただくべく懇親会も開催させていただきました。皆様、会社や業界は違えども、感じている課題には共通のものも多く、皆様それぞれの状況に関する有意義な情報交換を行っていただいたようでした。

第2回以降についても、ご参加の皆様のご意見も伺い少しずつ工夫を加えながら、実りある勉強会にできればと考えております!よろしくお願いいたします。

水中クリーンアップに参加しました

暑くなったり寒くなったりを繰り返していますが皆さま体調など崩されていないでしょうか。こんにちは、渡辺です。6月5日、環境の日に合わせて週末に開催された水中クリーンアップに参加してきました。
水中クリーンアップとはスキューバダイビングで潜って港や海中のごみを拾う作業です。

暑い日で海も真っ青できれいだった上、海底のごみがどんどん減っていくので気分が非常にすっきりしました!
ごみは大概砂に埋もれて見えづらくなっているので宝さがしのような気分で非常に面白かったです。大きいごみが拾えるとテンションが上がります。

海に不法投棄されたごみが多いのではないかと想像していたのですが、意外と切れた釣りの仕掛けや漁網、台風の日に船から落ちたであろうタイヤなどが多く意図的にごみを捨てなくとも我々はこんなに海にごみを落としているのかーと驚かされました。なぜか陶器などなぜ落ちているのかわからないものたちもありましたが。。。。

たしかに釣りをしていて、気を付けていてもジグが根がかりして切れることはあるのでこれで少しは罪滅ぼしもできているのではないかと思います!

海中のごみを回収する作業はダイバーでないとなかなか難しいですしダイバーだからこそできる環境活動かと思います。
これでいつもお世話になっている、私の大好きな海に少しは貢献できたのではないかなーと思っております。

そして個人的にはかなり綺麗な餌木を海中で拾い、もらえたのでラッキーでした。イカ釣りに挑戦せよという神様からのお告げでしょうか。。。。いかは捌くのは簡単だし焼いてもおいしいですし刺身もおいしいですし大好きなのですが実はいか釣りに行ったことはないのですよ。

ESG、環境活動と言葉自体はよく聞くようになってきましたが実際にやるとなると難しい感じがしてしまいがちです。今回の皆で集めた山のようなごみ(とはいえ海全体のごみから見ればまだまだごくわずかですが)を見ても分かるように自分ができるところから少しずつ取り組んでいく人たちがだんだんと増えていって地球にポジティブなインパクトが出てくればいいなと思いました。

海中で参加者皆が拾ったごみを分別した写真です

謹賀新年 2022

2022年 明けましておめでとうございます

あすかコーポレイトアドバイザリー田中でございます。昨年中は大変お世話になりました。
本年も宜しくお願い申し上げます。

COVID-19については、未だに感染拡大の先行きに予断を許すことはできませんが、暗闇の中大波の中を進むようだと感じていた昨年の今頃に比べますと波間に差し込むSilver Liningはその光を強めているように感じます。

笑い話を一つさせて下さい。年末、もう二年越しで経営に関する様々な提案を差上げているある御投資先との初の直接面談の場を頂ける事になりました。経営陣からご担当迄、皆様と事実上初めて直接お目にかかったのですが、その際話題になったのが過去に名刺交換をしていなかったかどうか?という事でした。ビジネスマナーとしては名刺交換の有無を忘れてしまう等とはもっての外なのですが、PCの画面越しに難度の高い議論を重ねる中で、お互いに面識がある年来のパートナーのような気持になっていたという事に、一同大笑いを致しました。皆様もそんなご経験がおありではないでしょうか?

今年がどのような年になるかはわかりませんが、2020年-2021年と相手の体温が全く感じられない中でもなんとか作り上げてきたこのような絆が、感染の波状的な拡大はあるとしても、今後弱まることは無いのではないかと密かに心強く思っております。

弊社の一年を振り返りますと、春には従来の投資助言業に加えて代理業を取得し事業の幅が少しだけ広がった事。夏にはパートナーであるあいざわアセットマネジメント(旧あすかアセットマネジメント)の引っ越しと合わせて長年過ごした内幸町から汐留への引っ越しを行った事。秋にはあいざわアセットマネジメントを含む藍澤證券グループとのネットワークが本格稼働し、地銀様を含む多くの投資家の皆様とのネットワークが生まれてきた事。年間を通じますと、ご投資先からの要望もありESGやサスティナビリティーを企業価値と結びつける新しいバリューアップ手法が生まれてきた事などが挙げられます。トップギアで駆け抜けられたかというと全くそうではありませんが、匍匐前進ながら着実に前に向かっている実感を感じます。

このような中、今年のご挨拶用のテーマは「Nemo timendo ad summun pervenit locum」(勇敢さを欠いて高みに到着した者はない) を選んでみました。例年この選択だけは自分でやらせてもらっていたのですが、今年はメンバー全員の投票で決めました。不思議なのですがほとんど票は割れず。画像の選択はアウトドアが好きな若いメンバーの某君らしい選択です。

今年もメンバー一同、引き続き安全に留意しつつ、お客様ご投資先の皆様のために一生懸命頑張ります。ご指導ご鞭撻何卒宜しくお願い致します。

2022年1月1日
あすかコーポレイトアドバイザリー 田中喜博

上場株インパクト投資の研究 4章(6)

資産運用業界の仲間たちと一緒に、「インパクト投資を上場株に適用する」をテーマとして研究を始めました。スマートフォンアプリのClubhouse上で様々なディスカッションを行っています。皆さまも是非ご参加ください。また本ブログではこの議論の内容をコンパクトにまとめて皆様にお送りします。

リンク:「上場株でのインパクト投資」常設クラブ(Clubhouse内)

次回は11月10日(3日は祭日につき)、お昼の 12時より Clubhouse Meeting を行う予定です。

上場株式でインパクト投資 4章3回下 

2021年6月23日後半

(このブログはクラブハウスでオンエアしている“上場株でのインパクト投資”を綴ったものです)

Tさん
アセットオーナー自身が、貴重な年金資金を運用される事を通じて何を実現したいのか、どういう投資対象に投資をしたいのか、ていうのを考えていくことが優先で、それに先立ってESG投資、社会的インパクト投資はかくあるべしというのを“外野”が作っちゃうというのがかえってそれを劣化させていないかなと思うんですけど

Hさん
あの〜いいですか?私なんか北欧のソブリンファンドとか運用していたときの感じだと、同じ組織の中にもいろいろな立場の人たちがいて、意見やスタンスが異なります。ESGの担当者の人は本気で、本当にそれが必要だと信じていて、彼らなりの管理の仕方で管理したい、だからたいてい向こうのフォーマットがあってそれにそって報告します。また、投資銘柄も“この範囲の中でやってください”というものを指定している場合もありました。だけどその会社の中でもCIOやESG以外の運用担当者になるとスタンスや考え方が違って、ESGは重要ではあるけれどトッププライオリティではなくリターンでないファンドは基本的にダメというスタンスでした。アセットオーナーの中でも、いろいろな部門があって、その部門ごとで目標が違っうということは実態としてあるんじゃないかなと・・・

MC
それは間違い無くそうだと思いますよ。5、6年前ぐらいにイギリスのアセットオーナーと話したことなんかを思い出すと、今から5、6年前だとイギリスでもESGのEの圧力が強くなっている時期なんですが、ガバナンス担当者が“いったい誰がこの企業を買ったんだ!”みたいに思う銘柄を運用側のジャッジメントで組み入れていたりすることがある・・・なんて話を聞いていましたし、ついこの4月でも北欧の年金基金で責任投資担当者が、“アセットマネージャーの中でもファンドマネージャーと、ガバナンスやサステナビリティなどを見ている人で意見が割れる・・・”という話をしていました。だからどこの世界でもあるのだと思いますが、アセットオーナーに説明をする時、つまりESG
的ファクターは個別に色々な話はしたいけど、アセットオーナーから見ればものすごくたくさんのアセットマネージャー抱えているから、なかなかわからない、これがたぶんKPIがわかりやすく浸透していく背景なんじゃないかなと。パフォーマンスはわかりやすいから、あとはESG頑張っているファンドマネージャーとそうでないファンドマネージャーを・・・やられる方は嫌だと思いますが、ソートしたいとか思ってしまうと思うのですが・・・・

Kさん
運用機関として評価されるのは嫌だっていうのはありますが(笑)逆にファンドを評価するほうはどうなんだと思います。今、多くのアセットオーナーは持っているファンドをバーラのシステムなどにぶちこんで見たりしているわけですが、ESGについても同じことするのかなと。どこかのコンサルタントがシステムを売り込んで、標準化されて、それぞれのファンドについてそのツールが解説して・・・その時にぼくらがどんなふうに見られるかを考えないといけないのかな・・・そうすると個別銘柄を評価して運用している人たちは苦労するんじゃないかな。逆にいうと、そうじゃないんよと言い続けなければならないんじゃないかな・・・。

Tさん
本当に大変になると思います・・・ちょっと例え話を思い出したんですが、某外資の大手が運用されているとても評判のよい成長株ファンドがあって、サブファンドとしてESGファンドを立ち上げられた、ところが内容をみるとメインファンドとほとんど中身が同じだったとして色々議論を呼んでいるようです。気持ちはわかるところもあって、確かにESGファンドです!って謳っていなくても慎重に株を選んで、企業を評価していくと十分に社会のためになっている、いいインパクトを起こしている企業に投資を行っているという自負はあるはずだと思うんです。でもそれが、いまESGやインパクトに投資したいという人は、そういう名前がついていないと投資してくれない、じゃあ看板を書き換えちゃえとなる部分もあるのではないかと。でもそこからさきはビジネスの世界なので、高い手数料をつけたとか、内容が同じだということを言わなかったりしたらビジネスとして問題かもしれませんけど。でも外形から入っちゃっているところで、アセットオーナーとして実現したいことは本当に実現できてるんでしょうか。・・・おそらくアセットオーナーが恐れているのはウオッシングですよね。それを避けなければならないということで外形的にもちゃんとした、綺麗なものに投資しなければ、という傾向になるんでしょうけどそうじゃないんじゃないかと。・・・ちょっと話しながら思いついてきちゃったんですが、ハラールってあるじゃないですか。イスラムの人が信教上のスタンダードに照らして食べることができる食材の一種の認証ですが、個別企業にもハラール認証的に、この会社はこういう評価ですっていうのができていれば、成長株ファンドですが、6割ぐらいハラール対象ですとか言えて、そしたらアセットオーナーも、自分は成長株に投資してるんだけどESG対応もかなりできちゃうな、みたいな印象をもてるかもしれませんね・・・

MC
いや、それはね。最初に言ったのと矛盾してますよ・・・。今いい子だけを集めてファンドにしますじゃないと。三人は思っているわけですよね。今からどうやって良くするかがアクティブ運用の腕の見せ所であれば、今の得点だけでみてちょっとESGぽいじゃダメなんでしょ? 問題はエンゲージメントを評価するのがすごく難しいということなんだと思うんですよね。自分たちがいたおかげでどういう改善があったかを説明するのは難しい、それをアセットオーナーが定量的に評価して、しかも100とか200とかいるアセットマネージャーのうち、優秀なアセットマネージャーに入れ替えるというのはすごく難しいということですよね。

Hさん
いや、難しいと思いますよ。エンゲージメントちゃんとしたかって、いろいろな運用会社の報告を見ていると結構言ったもん勝ちみたいになってて・・・。でも私なんかの場合あんまりエンゲージメント何しましたかって聞かれることはないですね。

MC
それはHさんが成績優秀だからでは?

Hさん
いやいや、そういうことを聞きたいわけじゃないと思うんですよね。日本て今そこにすごい関心があるし、アセットオーナーもそこをきくんですけど、海外ではそれは当たり前のことって感じで。普通にファンド説明をしていて、投資していると色々なことが起こるわけですが、不祥事とか、運用パフォーマンスが上がらないとか。そういう時にそれをどう考えて何をしているのということになって、その時に自分たちがこういうエンゲージメント活動をしました、ということを説明して、どういう時間軸で対応してくのみたいな話になるわけです。つまり、洗練されているアセットオーナーは全てが当初宣言している運用スタイル、エンゲージメントの考え方に合致した行動をとっているかという事を具体事例で確認するわけです。だから全部を“こんなふうにエンゲージメントしてます”とかアピールするというのは、僕の場合は全然なくて・・・
 エンゲージメントって、不祥事など何か悪いことが起こった時にどのようなエンゲージメントをするかも重要なんですけど、そもそも、そういう会社を選ばなくてもいいわけじゃないですか。アクティブ投資なんで、なんでそこ選んだのとか。最初から割安でエンゲージメントする前提で買っていれば別なんですけど、買った後に不測の事態が起こりエンゲージメントするという場合ではそもそもその企業を買わなきゃ良かったじゃないか、分析が深かったら避けられたんじゃないかということになります。だからアクティブのエンゲージメントは失敗した時の言い訳みたいにならないようにしないといけない。
 逆にパッシブだと、」自分たちがこういう活動を行いましたっていうのもあるので、パッシブのほうがピュアにエンゲージメントの説明しやすいのかもしれない。もちろん何を目的にするかにもよりますが。

MC
そうするとインパクトな運用をしているアクティブな運用者は、評価されるのは難しい、評価するには評価する側もなんらかのモデルがいる・・・しかし既存のモデルは運用者が満足できるようなものになっていない?ということ?

Hさん
・・・たぶんこういうアクティブの場合は、パフォーマンスがいいのが大前提で、それも達成できていないのに、あれこれ言われても“何言い訳を言ってるの”っていう感じになっちゃいますよね。

MC
だからまずパフォーマンスがいいことが大前提で、それからESG的に絶対必要なことについてこういう取り組みをしているということで、今EUでは新しい規制、各マネジャーが報告するレギュレーションがあって、だんだん報告もKPI化してると思うんですよね。

Kさん
・・・ちょっといいですか?先程ハラールの話がありましたけど、じゃあいい会社ってどうなのって考えたら、今東芝のHPみたら2019年度もESGとかCSRとかで表彰されている。

Tさん
ハラール認証とれているんですね

Kさん
・・・だからそういった意味で難しいところがあるんです。本質的なところは自分で見にいき、しっかり認識するということが重要なのかなと思います。だからインデックス的になるとなかなかそれが理解できなくなるというところが懸念です。

MC
だから今Kさんとかが企業に対し思っているようなことを、アセットオーナーはKさんたちに対して思うんですね。”う〜ん、こいつはKPIだけみると良さげだが10年お金預けたら大変なことになっちゃうぞ“とか。

Kさん
・・・だからやっぱりそうしたことを、アセットオーナーもそうですが、個人もそうかもしれないけど、みる目を持っていただきたいなと思います。

Tさん
ぼくたちエンゲージメントを要素分解しているんですよ。ざっくりとEPS(キャシュフローも含めて)を上げるのか、市場マルチプル、まあ市場からの評価ですね。これをあげるのか。それぞれによってさらに細かい要素分解ができるんですが、、ESG、SDGs的な考え方もこの中に入っていまして、それをぼくらなりのKPIにしているって感じです。まああんまり定型のKPIができるとぼくらが信じる価値感が薄れてしまうような・・・・・

続く

上場株インパクト投資の研究 4章(5)

資産運用業界の仲間たちと一緒に、「インパクト投資を上場株に適用する」をテーマとして研究を始めました。スマートフォンアプリのClubhouse上で様々なディスカッションを行っています。皆さまも是非ご参加ください。また本ブログではこの議論の内容をコンパクトにまとめて皆様にお送りします。

リンク:「上場株でのインパクト投資」常設クラブ(Clubhouse内)

11月3日は、お昼の 12時より Clubhouse Meeting を行う予定です。

上場株式でインパクト投資 4章3回上

2021年6月23日前半

(このブログはクラブハウスでオンエアしている“上場株でのインパクト投資”を綴ったものです)

MC
前回まで、いろいろなインパクト投資がある中で、社会的なインパクトやアセットマネージャーがおいた仮説やリターンを説明できるか、それにはKPIが重要だということを話してきました。その中でこの3人のような集中投資の場合は、一社一社個別の議論をしていてKPIで話すの難しいよねという意見がでました。とはいえ、世の中の流れは更にKPI重視に向かっています。昨今EUでもアセットマネージャーの報告書が比較可能になるような取り組みが行われています。SFDRというレギュレーションが今年の3月からスタートし、来年からは一定以上の条件の資産運用会社は、定められた詳細の情報を報告書に記載しなければなりません。そこではサステナビリティの課題への貢献だけでなく、悪影響となるようなことについてのKPIもあります。それだけのデータを投資先企業分揃えないといけません。アセットオーナーは比較しやすいとか、評価しやすいといい、何十ものアセットマネージャーに依頼している場合は、一人一人のアセットマネージャーの説明を聞いて理解することが難しいのだと思います。さて運用者から見てこの状況はどうでしょうか?今日はオーナーは皆さんの報告を聞いてなんと言っていたか・・・から話してみたいと思います。

Tさん
ちょっと違う話しからなんですけど、さっき我々集中投資は個別に議論をしているからKPI設定が難しい。。。とおっしゃいましたよね。でも逆じゃないかと思っていまして、ソーシャルインパクトを本当に考えるのであれば各社固有のテーマがあるべきなんで、個社で設定されるべきだと思うんです。でも今のインパクト投資の投資コミュニティで議論されているのはもう少し網の目があらい。インダストリーの中で共通の何かを見つけ出そうとしている動きじゃないですか?ゆえに、個社だとかえって使いづらいKPIになっちゃっていると思うんですよね。
本来は個社で何を管理しなければならないかをアセットオーナーとしっかり議論しなければならないと思うんです。

MC
なるほど、それでちなみにTさんの場合はTさんからみてアセットオーナーは一人?アセットオーナーからいたらアセットマネージャーはTさんだけ?あるいはすっごい大勢いますか?

Tさん
一人ではないです。ものすごく多くもないですが。我々はプロダクトをよくわかっていただいていると思います。もうそれで十数年ですから、よくわかっていただいていて。ただ、昨今新しいアセットオーナーの方とお話しすると“なんでもいいからESG持ってきてよ“ていうニーズはすごく強いようです。我々は個社にフォーカスしているので、そこに合致するのかどうか・・・大きな流れとしてのニーズは高いとはいえ、具体的に運用を通じて何を達成したいのか?という点について、現時点ではあまりアセットオーナーさんはご関心がないのかも・・・

MC
じゃあTさんが一生懸命KPIを用いて新しいクライアントになるかもしれない人に説明しても、あんまりみてもらえない?

Tさん
そうですねえ・・・まず外形標準を満たさないと、という感じがします。またアセットオーナーさんはまだどうしてもESGはリターンが悪いという認識でいて、“多少でもリターンがいいものをもってきてくれ”というご要望が多いようです・・・

MC
なるほど。ではKさんどうでしょうか?アセットオーナーさんは今までKさんの説明をなんといっていましたか?

Kさん
私は欧州系の運用会社にいたこともあって、けっこうESGを重視されているお客さんがいました。そういう方はパフォーマンスは一般並みでいいので、ESGがよくなるように投資したいと言われていました。そういうニーズもあるとは思います。一方、日本でもESGならなんでもいいから持ってきて、という人がいるということは関心は増えているということでしょう。去年も銀行系の運用会社がESGと名前をつけて一兆円集めたりしていますし、ESGという名前をつけたらそれだけで売れるみたいな状況になりつつあります。その中で本当に、投資家が投資先一社一社のESGを考えているかどうかというところを見なければいけないと思うのですが。

MC
その欧州のお客さんで、パフォーマンスはそこそこであればESG的にいいものを持ってきて欲しいという人たちにKさんはどんなふうに自分のファンドはESGに貢献していると説明をしてました?

Kさん
うーん、私がやってきたのは、今あまりよくなくてもこれから頑張ってよくなりますよという企業に投資をしてきたのですが、でも最近の欧州の規制をみているとピカピカの会社に投資しているほうが評価される方向なので、スタンスが違うのかなと思ってます。スタンスの違う人にどうやって話すかとなると、“ぼくらはこういうスタンスですよ”というしかないと思っています。

MC
Kさん、過去のこのセッションでもいっていましたね。今ダメな人が良くなるのが大事だと。しかし確かに今のEUなどの取り組みは今ピカピカの人にしか投資しちゃダメみたいなところはありますよね。でもKさんがちなみに説明する時は、どんな点を話していました?

Kさん
もちろんガバナンスもありますし、たとえば人に関しても海外の工場まで見に行って、そこで問題点があってぼくらはこういういうふうに意見を言っていると、いうような話もしています。結構、個社によって違います。

MC
シンプルなKPIじゃなくてやっぱり現状の問題はこれて、こんな議論をして、こんなふうによくなった・・・というような説明をすることが多い?

Kさん
そうですね。よくなるには時間がかかりますが・・・

MC
ありがとうございます。Hさんはどうですか?

Hさん
投資している側からすると個々の企業は大事ですが、アセットオーナーに説明する時を考えると、必ずしもそこまでいかないこともあります。アセットオーナーは通常はすごくたくさんの運用会社にオーダーしています。大きなアセットオーナーになると運用会社もかなりの数採用しており、個々バラバラです。1宇1つの運用会社から投資銘柄1つ1つの進捗を聞くというのは現実的じゃなくて、通常それはないと思っています。
説明する時は目立っているところ、自分たちが特にベッドしているところを説明するのだと思います。従って、通常はファンドレベルまで進捗の説明を求められているのかな?という感じがします。

Tさん
なんかあれですよね。VaRの議論じゃないですけど、自分たちが持っているアセットのエキスポーじゃーってどんなもんなんだろうって理解したいというのはわかりますし、テールリスクも含めてそれを管理していくという意味では、何かファンド単位でというのは重要なことなんだろうなと思います。ただ、たとえばESG投資をやりたいと、考えなきゃと思う方が本当にカーボンフットプリントの改善を達成したいのか、それとも本当はリターンなんだけど、せめて世の中に悪いことをしたくないっていうことなのか、それをよく考えてもらうことがすごく大事だと思います。両方ありだと思いますし。本当にカーボンプリントの改善を達成したいのであれば、ファンド単位でそれをきちんと達成するマネージャーがお預かりするべきだと思います

続く

上場株インパクト投資の研究 4章(4)

資産運用業界の仲間たちと一緒に、「インパクト投資を上場株に適用する」をテーマとして研究を始めました。スマートフォンアプリのClubhouse上で様々なディスカッションを行っています。皆さまも是非ご参加ください。また本ブログではこの議論の内容をコンパクトにまとめて皆様にお送りします。

リンク:「上場株でのインパクト投資」常設クラブ(Clubhouse内)

11月3日は、お昼の 12時より Clubhouse Meeting を行う予定です。

上場株式でインパクト投資 4章2回下

2021年6月12日後半

(このブログはクラブハウスでオンエアしている“上場株でのインパクト投資”を綴ったものです)

MC
では、今お聞きしたような点をアセットオーナーにどう説明しているかお聞きしていきましょう。まずHさん、その3つにわけたのをどんなふうに成果を・・・成果が現れるのは翌年ではないでしょうから、毎年アセットオーナーに説明する時どんなふうに進展を話していますか?

Hさん
全部の銘柄を説明することは現実的ではありませんし、そもそもアセットオーナーも全銘柄について説明されても困ると思います。運用報告のたびにその期で特徴的で、それから寄与度が大きいところを中心に説明しています。

MC
なるほど、つまり三十社のなかですごく大きくなったり小さくなったりするところを見ていて、あんまり変化のないところはアセットオーナーに話さないということでしょうか。

Hさん
 そうですね、元々リターンの寄与度が大きいところについてついてその原因と今後の方針を説明します。、エンゲージメントの成果が出た場合もそれが自分たちがやった行為の結果もあり思った方向に動いたのか、その他のことの影響で動いたのかについても説明します、ただ、そもそもエンゲージメントは多くの場合、他投資家も同じような問題意識をもっているので、 “自分たちはこの様な活動をしてきたけど、他の投資家もこう言っています”っていう感じで説明していますね。

MC
謙虚ですね。結構外国のファンドマネージャで“俺が、俺が”っていう人いますよね?

Hさん
まあ、やったことについては嘘じゃないでしょうから言ってもいいのでは。ただそれがどれだけ企業経営のデシジョンメークに関わったのかというと、なかなかそれって簡単じゃないし・・・・取締役会に入っていって言うことができるわけじゃないですし。“自分たちはこう言いましたが他の人もこう言ったと思います”とかいうしかないですよね。

Tさん
私の場合は、アセットオーナーへの説明に際してはパフォーマンスとそれに自分たちがどう貢献したか、どういう変化が起こったかを説明してるわけです。注意しなければならないのはKPIと言った時に、CO2を減らします、気温上昇を抑えます、それに対してどう貢献しましたかっていうのはなかなか語れなくて、もちろん長期のアウトカムとして実現したい社会は気候の話であったりCO2の排出量出会ったりというのがあると思うんですけど、モニタリングの対象になっても投資家としてできるのは、さらにその前段階にあるKPIとして、例えばアウトカムを実現するための環境投資をどれだけできたのか、それを実効性をもって計画的にできたのかという事にになるのではないかと思います。つまり結果変数としてのアウトカムと説明変数としてのKPIを間違えないようにしないといけないと思ってます。さらに我々が変化に貢献するインパクト投資を行うためには、アウトカムに対して、いかに付加的に変化を起こせたかが重要で、気候やCO2がアウトカムなのも間違いではないのですが、そのさらに内側にあるものをKPIにしていかないといけないのではないかと思います。いえば、それに近いものを我々はクライアントとコミュニケーションしている・・・ということでしょうか。

MC
EUとかでもわずか数年前は「え?上場株でインパクト投資?」って言われていたのに、これだけインパクト投資重要だよねと議論されるようになって、でも本当は長期投資だからながーい期間のアウトカムをうまく説明できている人はまだいないかもしれませんよね。Tさんが言ったように、CO2を減らしますとかいって、そのこと自身はエミッションでモニターしていて、まあエミッションは直接的なのかもしれないけど、モニターしている数字たちが本当に10年とかで価値になっているかは分かりづらい・・・まだ検証できていないかもしれませんね

Tさん
なんか、因果がはっきりしないんですよね。投資家によるものなのかどうか・・・KPIがもつ意味というのは実際の結果が出るには時間がかかるんだけど、その過程が着々と進んでいるのか頓挫しているのかを確認するための指標で・・・だからもう少し足元に近い方が位いいんじゃないかと思います。

MC
なんかその・・・、まずは長期投資ですということで、長期投資は株価など頻繁にうごいてしまうものは説明要因として難しい、では財務は?といってもすぐに成果はみえない・・・そこで長期的に社会にインパクトを与えるKPI・・・モニターする数値があればアセットオーナーとわかりあいやすいかもしれない・・・というような議論を過去にこのセッションでも話したと思うんですけど、ではそういうことで何をモニターするのがいいのかという質の問題に入ってきたかと思います。というわけでKさんいかがでしょう?
Kさんがバリバリ運用されていたころは、あまりこういう説明はオーナーにされていなかったかもしれませんが・・・それでもご自身の中でモニターしているKPIがあったのではないかと・・・

Kさん
はい、私は散々KPIが大事だと言ってきたんですが、でも本当にそれでよかったのか、今すごく悩んでいるところです。たとえば今回のみずほのシステムの問題があったと思いますが、みずほのKPIは“システムを絶対止めない”だったんじゃないかと思うんです。でもそうじゃなくて問題を大きくしない、止まったらすぐ直す、にしていなかったからああいう問題になったんじゃないかと。システムなんて絶対壊れるのだから止まるのはあたりまえで・・・だからそれに対応できなきゃいけないわけで・・・

MC
そ、そこすごく聞きたいんですけど。システムが止まった時すぐ対応することができる会社のKPIってなんです? どうやってモニターします?

Kさん
・・・・でも、そこをちゃんとするマニュアルができていなかったんじゃない?

MC
そうすると、マニュアルをチェックしますとか?モニタリングポイントって・・・どういうことをみておけばいいのか・・・

Kさん
・・・セキュリティの人たちがそういう報告書をつくって投資家に見せなきゃいけないんじゃないか・・・。そういう話をセキュリティの人たちともしているので、経営陣だけじゃなくて、投資家ともコミュニケーションすべきかと。それをぼくらが分析できるかというと厳しいなと思うけど。でもこういうふうにやろうとしているんですということを説明してくれるだけでも違うと思います。

MC
そうですね、そういうガイドラインがあって、社内でどういうことを決めているかとかを開示してもらって投資家がチェックしてというのはあるかもしれませんね。でもそれってサイバーリスクなんかも大きくなっているから、どの企業でもやらないといけないかもしれませんね。

Kさん
全ての企業がみんなそうで、環境リスクも同じですけど何か問題が会った時、どう小さく収めるかというのは会社として考えておかないといけないのではないかと。

Hさん
うーん、企業のその手のことを詳らかに全部聞くのは大変というか、仮にみずほがそれを開示していたとしても、それをきっと全部読めるかというと・・・集中投資だったら読めるかもしれないけど、投資先は少なくてもモニタリング先は結構あると思うんですよ・・・入れ替えたりするし。それを全部見るというのはちょっと大変すぎて・・・それは社外取締役とかに頑張ってもらいたいなと思いますね。

MC
そしたら社外取締役をチェックすればいいかもね。社外取締役がシステムのこともわかるかどうか。それも見れるようなメンツになっているのか。

Hさん
それもあるけど、今回のことなんかは企業カルチャーというか、リスクに対する対応度とか。それを我々がチェックする時は、過去の歴史とかみて、理解しようとしてますね・・・・マニュアルとかじゃなくて。こういう対応をしてきたからこういうカルチャーの会社なんだとか。

MC
何よりも大きな障害を起こしてしまう会社を避けないといけない、あるいはエンゲージメントで防止しないといけない?

Hさん
こう言ったことは起こると思うんですけど、そのときどうするというコーポレートカルチャーを見る・・・そういうことかなと。

MC
銘柄数少ないTさんはどうです?

Tさん
とっても難しい問題だと思っていて、でも企業のインパクトの特定や管理についてはある程度クリエイティブであるべきで、外部が決めたタガをはめすぎるのは良くないなあと思っていて・・・。でもリスク管理についてはあるていどタガをはめていった方がいいんじゃないかなと思ってます。つまりインパクトを生み出すことと、リスクを下げることは別に考えた方がいいんじゃないかと思っているんです。リスクについては、インダストリーのアベレージなんかをみて、それに比べてここ弱いんじゃないかとか、そういう話ができればいいんでしょうか。。たとえばこういうリスクだと報告はちゃんとできているのか、実際の件数はとか、そういうものについては産業そのもののリスクとして横にみていくことができてもいいんじゃないかと。

MC
Tさんの投資先に対しては今は、あんまりみていない?まあサイズが小さいかもしれませんが・・・

Tさん
ええ、あんまり。確かにリスクはあると思うんです。でも今はそれよりポジティブなほうをより熱心にみていますね。る。Hさんがいうように両方見るのは難しくて。でも最低限見るべき流転、例えばIT産業ならIT産業、金融業なら金融業のテールリスクみたいなものをあげていってもいいんじゃないかと思いました。

MC
そうですね。今の社会的な問題はITの問題って小さな会社が担い始めていますよね。だかセキュリティとか個人情報流出とかに大きく揺さぶられるかもしれないので、インパクト投資という中でポジティブな面だけみていくというのはちょっと見直した方がいいかもしれませんね。

Kさん
・・あの、投資家への期待はとても高まっているかもしれませんが、みなさんおっしゃるように、少人数でやっているので、なかなかモニターが大変だということは理解して欲しいです・・・(笑)

続く

社内でもサーキュラーエコノミー!?

皆様こんにちは。渡辺です。

昨年ブログを書いてから早くも1年経ってしまったようですが我が家の家庭菜園の状況をご心配してくださっている方もいるかと思いますので、近況報告がてらブログを久々に書くことにしました。

結論から申し上げますと家庭菜園は継続しております!
今年は気合を入れて石灰、たい肥などを利用した土壌改良から始め、畝立てをしたのちにじゃがいも、トマト、白菜、ナス、太ネギ、山わさび、唐辛子5種(韓国唐辛子、ハバネロ、神楽南蛮、鷹の爪、四川唐辛子)を植え付けた他、多年草の茗荷が昨年に引き続きあります。

しかし、残念ながら今年の長雨でトマト、じゃがいも、ネギは枯れてしまいました……。トマトはたくさん収穫した後だったので仕方がないと思っているのですが、芽のうちに流されたネギと根腐れしたじゃがいもを思うと胸が痛いです……。

このような残念な話だけではなく、長雨後にポジティブサプライズもありました!
昨年育てていた紫蘇とゴーヤが発芽したのです!!!
紫蘇ははじけた種が残っていたものが発芽、ゴーヤは収穫しそびれた実が熟したものから種が落ちたのでしょう(実が緑で葉っぱがわさわさしているので見つけそびれて熟して地面に落ちてしまうことも多々あったため。。。)
それぞれ(なぜか)畝の間の通路などにわさわさ生えております。

とはいえ、紫蘇はともかくとして我が家はそれほど多量のゴーヤを消費しきれませんので収穫第一号は沖縄出身の下地さんに差し上げることにしました。昨年白いゴーヤができたときにおすそ分けしたものをお子様たちの好物のゴーヤチャンプルにしたと大変喜んでいただけたので今後もできたものはおすそ分けしていきたいと思います。

昨年収穫しそびれた実から落ちた種が再度発芽したことはまさにサーキュラーエコノミー(循環型社会)という感じですし、自宅で食べきれない野菜を社内でおすそ分けするところも食品ロスの軽減になることを考えると非常にサステナブルな取り組みともいえますし弊社もついに最先端のSDG‘s取り組み企業の仲間入りができたのではないか!?と勝手に思っております。

学生時代環境活動に携わっていたこともあり、友人にたい肥から自作している人々がいることを思うとまだまだはじめの一歩という感じですが……。

野菜を作ったり釣りをしたりしていると食品メーカーさんや農家さんの苦労の一端が見えるような気がしますし、かかったコストを考えると規模のメリットがあるとはいえスーパーで食べ物やお惣菜をあれほど安く買えることに関しては各社の企業努力に頭が下がります。
以前、つれすぎたハマチを社内でおすそ分けした際に弊社の田中が「1から捌くことはめったにないので改めて生命の尊さ、食品メーカーなどの技術を意識できて感謝を感じた」といっていましたがまさにその通りかと思います。

今後、一人一人がSDG‘sを意識していかねばならない時代になりますし投資業界はなおさらかと思います。野菜、魚などできるところから、足元からの意識・取り組みを社内に広げていきたいと改めて感じました。